大豆の発酵食品であるテンペが、現在注目を集めています。
茹でた大豆に「テンペ菌」を植え付け発酵させた、インドネシア発祥の食べ物です。
インドネシアでは400年以上も前から親しまれています。
大豆の発酵食品といえば、日本では納豆を思い浮かべる方が多いと思いますが、納豆ほど粘り気はなくクセもないのでとても食べやすいです。
テンペは固められたブロック状をしており、軟らかく生でも食べられますが、調理して食べるのが一般的です。
またお肉の代わりとして使われたりしています。
テンペってどんな食べ物?
茹でた大豆に「テンペ菌」をつけて発酵させたものです。
テンペ菌とはバナナやハイビスカスの葉に付着しているクモノスカビの一種です。
茹でた大豆をバナナの葉に包むとバナナの葉にあるテンペ菌の働きで発酵が進み、テンペができあがります。
良質な植物性タンパク質をはじめとした栄養価が高く、食べごたえがあることから、ベジタリアンを中心に肉の代用品としても人気がある食材です。
SDGsの観点からも注目されており、食品ロスの問題やテンペを自作することで地産地消や環境負荷削減などに繋がっていきます。
テンペの栄養素
テンペには大豆と同じようにたくさんの栄養素が含まれています。
さらに、テンペ菌で発酵しているためより消化、吸収しやすい形へと変化しています。
どのような栄養素が含まれているかご紹介します。
- たんぱく質
たんぱく質は三大栄養素の一つで、筋肉や血液に含まれているだけではなく、エネルギー源としても利用されています。
また、常に分解・生成を繰り返しているため、毎日取り続ける必要があります。
テンペ100gあたり、15.8gのたんぱく質を含んでいます。 - カリウム
カリウムは主に私たちの細胞内液に含まれ、過剰に摂取したナトリウムを排泄し、むくみを解消して血圧を正常に保つ働きがあります。
また、近年の研究ではカルシウムが骨に沈着するのを助け、骨粗しょう症予防に一役かっていることがわかってきました。
テンペ100gあたり、730mgのカリウムを含んでいます。 - 鉄
鉄は血液の中のヘモグロビンに含まれ、体の隅々まで酸素を運ぶ役割を担っています。
鉄分が不足すると、体の隅々まで酸素が行き渡らなくなるため、心臓は酸素をいきわたらせるためにより多くの血液を送り出さなければならず、動機や息切れが多くなります。
テンペ100gあたり、2.4mgの鉄を含んでいます。 - 銅
銅は、血液中のヘモグロビンに鉄を組み込む役割をしています。
そのため、鉄分をしっかりと取っていても、銅が不足していると、赤血球中の鉄分が不足し、貧血になってしまいます。
また、体内のさまざまな酵素のもととなり、抗酸化物質として働いたり骨を形成する助けになったりしています。
テンペ100gあたり、0.23mgの銅を含んでいます。 - ビタミンB6
ビタミンB6は食材に含まれるたんぱく質からエネルギーを生産したり、皮膚、筋肉や血液を生成したりすることにかかわっています。
そのため、不足すると口内炎、湿疹ができたり、貧血が見られたりします。
テンペ100gあたり、0.23mgのビタミンB6を含んでいます。 - 葉酸
水溶性ビタミンの一種、葉酸は、細胞分裂を正常に行う働きを担っています。
また、ビタミンB12とともに血液を作る働きがあり、不足すると巨赤芽球性貧血という悪性の貧血を引き起こします。
妊娠初期の女性が葉酸不足になると、胎児に発育障害などがみられることがあります。
また、葉酸は、成人においては脳卒中、心筋梗塞などの循環器系疾患の発症リスクを軽減する働きが確認されています。
テンペ100gあたり、49㎍の葉酸を含んでいます。 - 食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があります。
水溶性食物繊維は小腸で栄養素の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑え、コレステロールやナトリウムを吸着し、体外に排出する働きがあります。
不溶性食物繊維は有害物質を吸着して排せつするとともに、水分を抱え込んで便のかさを増やし、便秘の改善に効果的です。
テンペ100gあたり、2.1gの水溶性食物繊維と8gの不溶性食物繊維を含んでいます。 - イソフラボン
大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをし、コレステロール量の調整や骨の代謝を調整して骨粗しょう症を予防する働きを持っています。
また、抗酸化作用があり、生活習慣病の予防にも効果的です。
テンペは大豆を丸ごと発酵させているので、豊富に栄養素が含まれています。
また、生の大豆を食べるよりもテンペとして摂取するほうが、身体に吸収されやすくなります。
さらに、栄養がありながら低カロリー食品のひとつと言われています。
テンペの調理方法
クセがないのでどんな料理にもとても合わせやすいです。
揚げても焼いても煮ても美味しく食べられます。
手作りテンペのレシピと、簡単に作れるテンペを使ったレシピをご紹介します。
手作りテンペ
最近では注目されて業務スーパーや大手のスーパー、通販などで売られているのを見ます。販売されているものも良いですが、せっかくなら自分で作ってみてはいかがでしょうか。
- 材料
大豆 250g
酢 少々
テンペ菌 1g - 作り方
1.大豆をたっぷりの水と少量の酢で一晩浸水させる
2.戻した大豆を柔らかくなるまで湯がく
3.粗熱が取れたら、テンペ菌と混ぜて、バットに敷き詰める
4.25度から30度で発酵させる
5.発酵は48時間以内で白くなれば完成
テンペの唐揚げ
ご飯のおかずにも、お酒のおつまみにも合う唐揚げはクセも臭みもないので挑戦しやすいです。
- 材料(2人前)
テンペ 300g
(A)しょうゆ 大さじ1
(A)料理酒 大さじ1
(A)すりおろし生姜 小さじ2
(A)すりおろしにんにく 小さじ1
片栗粉 大さじ3
揚げ油 適量
サラダ菜 2枚 - 作り方
1.テンペを3cm角に切る
2.ボウルに(A)を入れて混ぜ、1を加えて全体になじませ、10分程漬け込む
3.水気を切った2に片栗粉をまぶす
4.油を180℃に熱し3を入れて5分程揚げ、全体にこんがり揚げ色がついたら油切りをする
5.サラダ菜を敷いた器に盛り付けて完成
テンペの生姜焼き
テンペ自体には味がないので、少し濃いめの味付けがおススメです。甘辛タレが食欲が進みます。
- 材料(2人前)
テンペ 250g
小麦粉 大さじ2
油 適量
(A)酒 大さじ1
(A)みりん 大さじ1
(A)しょうゆ 大さじ1
(A)すりおろし生姜 小さじ1 - 作り方
1.ボウルに(A)を入れて混ぜる
2.テンペを5〜7mmぐらいにスライスする
3.2を1に10分程漬け込む
4.タレをにがさないように両面に小麦粉をまぶす
5.フライパンを中火にかけ、片面2分ずつ焼く。テンペが油を吸うので都度足しながら、焦がさないように気をつけながら、両面をこんがりと焼いたら完成
テンペの煮物
煮ることで大豆のほくほく感が増します。入れる野菜は冷蔵庫に残っているものでもオッケーです。
- 材料(2人前)
テンペ 50g
油揚げ 1枚
なす 2本
人参 ½本
だし汁 3カップ
しょうゆ 大さじ3
酒 大さじ2
みりん 大さじ2 - 作り方
1.テンペ1cm角のさいの目に切る。それぞれの野菜は食べやすい大きさに切る
2.鍋にだし汁、しょうゆ、酒、みりんを入れ、切った野菜を入れて煮る
3.最後にテンペを入れ、味がしみたら完成
おわりに
テンペについてご紹介しました。
日本ではまだ馴染みが少ない食品ですが、美味しく食べて健康にも良いというのは嬉しいことだと思います。
日本産のテンペは本場のインドネシアのものよりもクセが少なく、使いやすくなっています。
手作りするのも良いですし、最近では大手のスーパーや通販などでも手に入ります。
お肉を使わないヴィーガン料理はもちろん、健康志向な方向けのヘルシーな料理などにも大活躍です。
色んな料理に使えますので、ぜひ食べてみてください。
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