最近、食の変化をよく目にするようになりました。
その代表が、代替肉や、コオロギせんべいといった昆虫食です。
高タンパクで低糖質な食事を心がけている方は聞いたことがあるかもしれません。
これらの食品は、食のバリエーションを増やすためだけに作られている訳ではありません。
今後、世界中が直面するであろうと予想される課題に対して、取り組まれ生み出された食品です。
このように新しい食品を作り出すために最先端のテクノロジーを活用したり、食に関する環境を変えたりすることで、食材の生産・調理現場に新たな付加価値を加える取り組みをフードテックと言います。
世界中における食に関連した課題の解決策のひとつとして、今注目を集めています。
完全食としても期待が高まっており、体調をうまくコントロールしていきたい人にとってぴったりの商品が生まれています。
今後さらなる成長が見込まれる、世界中が大注目のフードテックについて今回解説します。
世界中で約700兆円規模まで急成長が予想されるフードテックとは
フードテックとは、食料(Food)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語で、食料の分野に最新のテクノロジーを活用することで、新しい食品を作り出したり、サービスやビジネスを提供したりすることを指します。
テクノロジーの活用を通じて、農業課題や食料課題の解消、あるいは緩和が期待されています。
そんなフードテックは2025年までに、世界中で約700兆円規模の市場になるといわれています。
2019年の実績が2兆円であることを考えると、これから見込まれている急成長度合いに驚かされます。
参考文献:フードテックとは?注目される理由や背景、具体的な取り組み事例などを紹介
では、なぜ世界中が注目しているのか。
それはフードテックが担う範囲・今後直面するであろう世界的な課題にあると思います。
それらについて下記にまとめます。
- 人口増加による食糧不足への懸念
- 飢餓問題の深刻化
- フードロスの増加
- 安全な食事へのニーズの高まり
- 菜食主義への対応
- 人材不足の深刻化
これら世界中の課題解決やニーズに応えるために、フードテックが参入している具体的な領域を下記します。
- 食品の製造
- 代替肉の製造
- 効率的な生産
- 環境変化に強い栽培
- ニーズにあわせた流通
- 新食材の開発
- モバイルオーダーの普及
多岐にわたりフードテックが活用されています。
そしてこれら全ては、世界中の課題解決やニーズに応えるものであるため、世界中が注目していることは当然であると思います。
身近な食の変化。なぜ”代替肉、コオロギせんべい”を食べるのか
フードテックの技術が活用され、すでに日本でも導入されている食べ物があります。
その代表格が代替肉、コオロギせんべいです。
代替肉、コオロギせんべいの代表例として、下記商品があります。
街中やスーパーやファーストフード店等で見かけられている方が多いと思います。
ではなぜ、これらの食材が誕生したのか。
理由は、食のバリエーションを増やそうという思いから作られた訳ではありません。
人口増加による食糧不足が懸念されているからです。
日本では人口は減少傾向にありますが、世界の人口の視点で見ると、2015年の世界人口が約73億8000万人だったことに対し、2030年には約85億5000万人に到達し、その先も増加傾向にあると予測されています。
人口増加に対する食料供給が追いつかなくなり、また地球温暖化などによる気候変動も大きく、今までのように作物が育たず、収穫量が減ってしまう恐れがあります。
その点で食料の生産を安定させ、収穫量を向上させるのではと考えられてるものが、フードテックです。
代替肉、コオロギせんべいといった代替タンパク質は、動物性食品から得られるタンパク質の代わりに、新しい技術を用いて得られるタンパク質のことを指します。
人口増加や食肉需要の高まりによって、タンパク質の供給が追いつかなくなると懸念されています。家畜の飼育は環境負荷が高いこともあり、対策として代替タンパク質に注目が集まっています。
しかし、昆虫食を食べることに多くの方が抵抗を感じられているのではないでしょうか。
そんな方々の抵抗を取り除くという背景もあって、コオロギせんべいは作られています。
コオロギせんべいは、コオロギパウダーを練り込んで作られているため、見た目や触感や味等に抵抗を感じることなく食べられるでしょう。
昆虫食を取り入れていきたいとお考えの方は、まずはコオロギせんべいから食べられることをおすすめします。
完全食により健康面でもプラス
フードテックの技術は、我々の日々の食事においても活用されています。
その一例が完全食と呼ばれるものです。
完全食とは、1日で必要とされる栄養素が全て含まれた食事のことを指します。
人工的に全ての栄養素を含んだ食品を作り上げ、これさえ食べていれば必要な栄養を満たせる、つまり健康でいられるとしたものがフードテックによる完全食です。
その完全食はすでに商品化されています。
一例を紹介します。
- カップ麺、カップライス、スムージー、グラノーラがラインナップ「日清食品『完全メシ』シリーズ」
- 国内では毎日食べる主食に着目し、必要栄養素を全て含んだ麺類やパンを提供している「BASE FOOD」
- 水に溶かすパウダーやドリンクなどの形状で簡単に必要な栄養を補えることを目指した「COMP」
カップ麺やパンといった、身近に食べていた物が完全食として商品化されています。
完全食は、これまで食べてきた商品と比較して、味や触感に違和感があるかもしれません。
しかし、少し違いを感じる程度であり、とても美味しく食べられるよう商品開発されています。
美味しく食べられて、必要な栄養素が摂れ、さらに栄養バランスを整えることができるため、健康的な体づくりを行っていきたいとお考えの方は、まず完全食を食べてみては如何でしょうか。
おわりに
フードテックは、最先端のテクノロジーを活用したり、食に関する環境を変えたりして、食材の生産・調理現場に新たな付加価値を加えることが期待されており、世界中から多くの注目を集めています。
世界中の課題は、一個人が取り組むだけでは解決しません。
そこで、これらの活動を応援し規模を大きくすることによって、世界中の課題解決に一役買えると思います。
我々が今できることとしては、フードテックによって作り上げられた食品、技術、サービスを使って、応援することです。
生活している中で、食の変化を感じ取りながら、一度食べてみては如何でしょうか。
「ユカリスタ」食や人に縁(ゆかり)ある情報と、生活を豊かにする情報をお届けします。