四季の移ろいがある日本。
旬の食材や料理がある中、日本酒にも四季によって旬があるのをご存じでしょうか。
日本酒は、季節ごとで熟成の度合いが変わり、味わいも大きく変わってきます。
1.冬酒(しぼりたて)|火入れせずまろやかな味わい
2.春酒|華やかな香りを味わえる
3.夏酒|冷酒やロックで飲むのが美味しい
4.秋酒(ひやおろし・秋あがり)|熟成がすすみ深い味わいに
今回は春夏秋冬、四季折々の日本酒とその特徴、おすすめのお酒を紹介していきます。
季節の日本酒【冬・しぼりたて】
しぼりたてとは
普通の日本酒は、保存期間を伸ばすために2回の火入れをしてから出荷されます。
それに対して、冬季にできる「しぼりたて」は一度も火入れせずに出荷されます。
火入れをしていない「しぼりたて」は酵母が中で生き続けている為、しばらく冷蔵庫に保存しておくと、だんだんまろやかな味わいになっていきます。
「しぼりたて」が飲める期間は12月〜3月中旬となっています。
1日だけの期間限定酒【立春朝搾り】
しぼりたては期間限定ですが、その中でも立春の日だけ手に入れることのできる「立春朝搾り」と言われるものがあります。
「立春朝搾り」は2月4日に酒質を最高の状態にするために醪発酵に細心の注意を払い作られる、とても手間のかかるお酒です。
2月4日早朝に搾り、すぐに瓶詰めして販売し、その日のうちに飲んでしまう日本酒です。
2月4日限定なので、ぜひ手に入れて飲んでみてはいかがでしょうか。
純粋無垢な味わい【無垢の酒】
高級酒が仕込まれる小寒から立春までに造られる純米吟醸の、醪を絞る時に加圧せずに最初に取れる、日本酒でもっともおいしい部分である「あらばしり」を使い、
新酒の風味を逃さないために濾過もしない、水も一滴も加えない「原酒」であり、加熱もしない生酒。
文字通りの無垢なお酒です。
「しぼりたて」を品選びする時には、「立春朝搾り」と「無垢の酒」があることを覚えておきましょう。
季節の日本酒【春】
春といえば卒業式、入学式、新社会人、新しい環境での生活など、おめでたい事がたくさんあります。
四季の中でも、新たな出会いが待っている季節に飲みたい日本酒は、見るだけで綺麗な桃色がかった見た目で、甘酸っぱくてさっぱりした味が人気となっています。
春の日本酒の特徴
販売期間は3月中旬から5月中旬になります。
呼び方は春酒だけではなく、「春純米」「春和酒」などと蔵元によって異なりますが、春の訪れや桜をイメージさせる桃色のラベルやボトルが特徴的。
スーパー等の販売店で日本酒を選んでいる時に春酒を見つけると、「春が来たんだなぁ」と嬉しくなってしまうデザインが多くあります。
味は甘めで、春らしい華やかな香りが特徴的。
春の訪れを感じさせる気持ちにぴったりの日本酒です。
近年、「花見酒」や「春酒」と呼ばれる季節の日本酒は、日本人が古くから親しんできた美意識に訴える、歴史のある季節商品と言えるのではないでしょうか。
たとえば、酵母を使用して桃色に仕上げたにごり酒は、見るだけで春らしい見た目と春が訪れた気持ちになり、ほのかな甘みと新酒らしい軽い味が特徴となっています。
季節を感じながら、それぞれ四季の味わいの違いを楽しむことができる日本酒。
季節の色彩に合わせたラベルやボトルの色など、色々な工夫を季節と共に楽しみましょう。
季節の日本酒【夏】
暑い日はキンキンに冷えたビールでしょ!
こう思う方は多くいると思います。
確かに蒸し暑い中、冷たいビールが喉を通ると爽快な涼風が吹いたような感覚がありますよね。
そんな中、日本酒の売上が下がりがちな夏場の対策として、蔵元や酒屋さんが「夏場に飲みたくなるような日本酒を造ろう」ということで考案されたのが「夏酒」になります。
夏の季節に合わせた日本酒
「夏酒」という言葉は最近になって聞かれるようになったそうです。
夏酒は、各蔵元がそれぞれに考えられた夏向けの日本酒の為、決まった定義はありません。
爽快感のある発泡スパークリングの日本酒や、ロックで飲む生原酒、甘酒のようなにごり酒など、さまざまなバリエーションが見られています。
ボトルにも夏らしい工夫がされており、清涼感を与えるブルーのボトルも多くなる半面、ボトルの中のお酒がブルーの夏酒もあるります。
クチナシの色素を加えることでブルーになるとのことですが、折角ですから清涼感のある青い色を生かして、カクテル風に氷を詰めたグラスに注いでロックで飲んでみてはいかがでしょうか。
季節の日本酒【秋・ひやおろし、秋あがり】
日本酒が熟成する季節、秋
冬の時期に仕込んでいた日本酒は、春や夏を過ぎ、秋が近づくにつれ熟成されます。
味わいが深まり、まろやかな味が出てきた日本酒は、秋の滋味を感じる料理にもピッタリとなっています。
季節の日本酒「ひやおろし」と「秋あがり」の違い
秋に発売される日本酒には「ひやおろし」と「秋あがり」と呼ばれるものがあります。
両方同じものと扱われがちですが、言葉の持つ意味合いが異なるので、知っておいて良いかもしれません。
「ひやおろし」
ひやおろしとは、冷蔵設備が整ってない江戸時代の造り方を継承した物になります。
冬から春先に出来上がった醪を搾って一度だけ火入れをした後、夏の暑さで品質が劣化しないように涼しい蔵で保存します。
そして9月に入って気温も下がり、通常の日本酒の温度と同じくらいになったら瓶詰めされて出荷されます。
また出荷の時期によって呼び方も異なるそうです。
- 夏越し酒(なごしさけ):9月に市場に出荷される。軽快でまろやかな味。
- 秋出し一番酒(あきだしいちばんざけ):10月に出荷される。まろやかで深い味わい。
- 晩秋旨酒(ばんしゅううまざけ):11月に出荷される。円熟した味わい。
ひやおろしの飲み方として、夏の暑さがぶり返した日にはキンキンに冷やして飲むのをおすすめします。
辛口ならオンザロックもおすすめです。
また、肌寒い日には燗をつけても美味しく飲むことができます。
40℃くらいのぬる燗で飲むと、こくと旨味が生きてきます。
「秋あがり」
秋あがりには二つの解釈があるそうです。
・品質を表す
1つ目は秋酒の品質を表すための表現方法と言われています。
冬に造られた日本酒がひと夏の間で熟成し、秋には酒質が向上したことを客にアピールするための命名という説です。
日本酒の味は「上がる」「下がる」「崩れる」などの言葉をつかって表現するそうです。
例えば、燗をつけることで味と旨味が引き出されることを「燗上がり」。
それに対して「燗下がり」は燗をつけたら日本酒のバランスが悪くなった時に使わるそうです。
「燗崩れ」は一旦燗をつけた日本酒が冷めた時に味が落ちてしまった時に使われます。
同様に「秋あがり」は、熟成したことで荒々しさが消えて、まろやかな風味になった日本酒を表しています。
逆に発酵が進みすぎ、熟成しすぎた日本酒は「秋下がり」と呼ばれるそうです。
・2回の火入れをしたことを表す
「秋あがり」とは、ひやおろしが1度の火入れのみなのに対し、2度の火入れをした日本酒のこと。
貯蔵前に1回、瓶詰めする時に2回目の火入れがあった日本酒のことを「秋あがり」と表現するそうです。
どちらにせよ美味しいお酒であることに間違いはないので、どちらも楽しんでみてはいかがでしょうか。
四季のお酒と共に四季の旬の食材も楽しもう
日本には四季それぞれに旬の食材がたくさんあります。
- 春
春キャベツ、筍、菜の花、あさり等 - 夏
トウモロコシ、トマト、らっきょう、タコ等 - 秋
秋刀魚、さつま芋、栗、キノコ類等 - 冬
鱈、白菜、寒ブリ、長ネギ等
挙げればまだまだ旬の食材がたくさんあります。
季節を感じる食べ物を楽しみ、お酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。
最後に
日本には美しい四季があります。
四季を楽しめることはたくさんありますが、お酒もその一つだと思います。
お酒を探す際はぜひ季節を感じながら探してみてはいかがでしょうか。
今だからこそ美味しく飲めるお酒がきっと見つかります。
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