日本酒をあまり飲まない皆さん。
居酒屋のメニューを見たり、スーパーの酒販コーナーを覗いたりしたときに、「日本酒ってこんなに種類があるんだ」と感じたことはありませんか?
日本酒をよく飲む皆さん。
普段お酒を飲まない人に「どの日本酒が美味しいの?」と訊ねられ、どう返事したものか、困ったことはありませんか?
日本酒の酒蔵は、全国で1,300以上(参考:清酒製造業の概況/平成30年度調査分)、銘柄は1万以上あると言われています。
今回はそんな日本酒について、銘柄ごとの違いがなぜ出るのかと、日本酒の作り方についてをご紹介していきます。
原料や精米歩合による日本酒の違いについて
まずは日本酒ごとの違いについて紹介していきます。
日本酒は原料や精米歩合の違いによって8種類に分けられます。
そのなかでも、原料の違いによって「純米酒」と「本醸造酒」の2種類に分けられ、精米歩合(磨きの度合い)によって、それぞれ4つに分類されます。
大まかな分類については、一覧を以下にまとめます。
①原料の違いによる分類
先ほど紹介したように、日本酒は醸造アルコールを添付しない「純米酒」と、醸造アルコールを添付した「本醸造酒」に分けることができます。
これだけ聞くと、もしかしたら「本醸造酒はアルコールによる水増しをしているの!?」などと誤解をする方もいるかも知れませんが、厳密には「仕込み・もろみ」の段階で醸造アルコールを添加し、適度なタイミングで発酵をとめることで、過剰な熟成を防ぎ、
- 酒質を淡麗にする
- 日本酒の香りを引き出す
- 火落ちしにくくする
などの味を整える効用を期待しています。
一方で純米酒は「米」、「米麹」、「水」のみと非常にシンプルな原材料となっています。
以前、こちらの記事でも述べてきたように、「穀物」から作られる醸造酒である日本酒は、「果実など」とは違い穀物自体に水分を含まないため、仕込み水の味わいがお酒の味わいに影響を与えます。
純米酒は発酵による熟成度合いや厳密な温度管理などの、複雑かつ繊細な醸造工程が要求されるため、「米」、「米麹」、「水」などの原材料が全く同じだったとしても、最終的に味が大きく違うこともあります。
後で紹介する「しぼりたて新酒」などの火入れをしない日本酒は、瓶の中で熟成が進み、その日によって味が変わることもあります。
②精米歩合(磨き)の違いによる分類
精米歩合によっても日本酒の種類は変わります。
そもそも精米歩合とは、精米(玄米から表層部を削った米)して、残った米の割合を示します。
つまり精米率60%の場合、お米の表面を40%削り残った中心部分(60%)を原料として使います。
そのため、一般的に精米率の高い「純米大吟醸」「大吟醸」は、原料のロスや、磨きの工程がより必要となる分、高価になりがちです。
たまに、「大吟醸は手間隙がかかっていて、高級品だから美味しい。」という意見も耳にしますが、一概に米を削れば削るほど美味しくなるほど単純ではありません。
精米時に削り取られるお米の表層部(栄養素)は、多すぎれば雑味の原因にもなりますが、適量であれば旨味の素にもなり、味わいのある日本酒になります。
精米歩合の高い日本酒は、スッキリとして雑味のない洗練された味わいに仕上がる一方、
精米歩合の低い日本酒は、コクがある芳醇な味わいに仕上がります。
季節とともに移ろう日本酒の表情
11〜3月の冬の時期は、日本酒(新酒)のシーズンでもあります。
日本酒は基本的には秋に収穫した新米を原料に仕込み、主に冬から春にかけて造られます。
そのため、季節によって
- 冬酒:しぼりたて
- 春酒:うすにごり
- 夏酒:冷酒
- 秋酒:ひやおろし
などがありますが、冬季に飲むなら「しぼりたて」のお酒をオススメします。
「しぼりたて」の紹介をするまえに、日本酒の造り方についてお話すると
- 精米(精米時間:精米歩合50%_約45〜50時間、精米歩合28%_約72時間)
- 洗米・浸漬(精米歩合33%の場合:1俵の洗米時間_約17秒、浸漬時間_約10分)
- 蒸米(蒸時間:約40分)
- 製麹(麹作り_2昼夜)
- 仕込み・もろみ(酛(もと)造り:約2週間、仕込み4日間、発酵_約1ヶ月)
- 上槽・火入れ(上槽時間:タンク1本(総米3t)_約半日)
- 貯蔵(貯蔵期間:数ヶ月から1年)
- 調合精製
- 瓶詰め
の工程によって造られます。
(参考: 朝日酒造の酒造りの工程紹介)
これを見ても相当な時間と手間をかけていることがわかります。
こちらが一般的な酒造りの工程になるのですが、このように普通の日本酒は保存期間を伸ばすために、およそ2回の火入れをしてから出荷されます。
それに対して、冬季にできる「しぼりたて」は一度も火入れせず出荷されます。
そのため、しぼりたてが飲める期間は12〜3月中旬までと限られています。
また、火入れをしないことで酵母が生き続けているため、しばらく冷蔵庫に保存しておくと味わいがまろやかになるなど、味の変化も楽しめます。
興味ある方はぜひ飲んでみてはいかがでしょうか。
酒造見学のライブ配信を見て詳しくなろう
これまでは冬になると酒蔵を一般公開し、蔵見学を実施している酒造も多くありましたが、今は新型コロナウイルス感染症対策として、蔵見学の中止または時間短縮をしている酒蔵も少なくありません。
そんななか、最も日本酒造りが盛んな新潟県にある朝日酒造では、Youtubeを用いた動画配信による「オンライン酒造見学」をライブ配信しています。
なんと先ほど紹介した、酒造りの工程を映像で見ることができます。
詳しくは、下記リンクよりご確認ください。
(酒造見学: https://www.asahi-shuzo.co.jp/visit/brewery/)
前回の記事でも、冬のオンラインイベントに関する特集を挙げましたが、
自宅にいながら、いろんなイベントに参加することができるのは楽しいですね。
興味ある方は是非ご覧になってみてください。
奥深い日本酒の世界は知ると楽しい
今回は日本酒の造り方や種類について紹介しました。
日本酒の種類、造り方だけでもかなり幅広く違いがあり、地域のよって、それぞれの特徴をもっています。
こうして見ると、どうして日本酒の銘柄がこれほど多くあるのかわかります。
そして地域や季節、製造方法によって日本酒は全く異なる味わいとなります。
そのなかから、自分にとって一番と感じる一本を見つけるのも日本酒の醍醐味ともいえます。
あなたにとって一番美味しいと感じる日本酒はどれでしょうか?
生まれ育った郷土の地酒。
お祝いの席で頂いた1杯。
旅行先で出会った、掘り出し物の1本。
それぞれにとって、一番美味しいと感じる日本酒はきっと変わるでしょう。
だからこそ、自分にとって一番美味しいと感じる日本酒を探してみてはいかがでしょうか?
「ユカリスタ」初めての方にも役立つ、幹事の可能性を拡げる情報をお届けします。