今、牛肉の価格が上がっています。
現在ニュースなどで「ミートショック」といわれている現象です。
国内大手牛丼チェーン吉野家は、牛丼並盛を387円から426円に値上げしました。
割合でいうと約10%の値上げです。
吉野家が値上げをするのは7年ぶりで、過去最高単価となります。
また、同じく牛丼チェーン松屋でも値上げが行われました。
こちらは約20%の値上げです。
日本だけではありません。
日本では、消費する牛肉のうち4割が国内、4割アメリカ産、2割他の国からの輸入に頼っています。
輸入元の値段が上がれば、日本国内での値段が上がるのは自然の流れです。
なぜこのようなことが起きているのでしょうか?
今回は、その原因について分析していきます。
世界的な肉不足
価格高騰の大きな要因は、中国での需要増による世界規模での肉不足と言われています。
14億人の人口を抱える中国は今、急激な経済成長の真っ只中。
それに伴い、食生活にも大きな変化が起きています。
今まで貧しくて、肉を食べられなかった人たちが肉に手を出せるようになってきました。
中国における牛肉の輸入量は、ここ5年で2.3倍に急増しています。
今、14億人の胃袋を抱える中国による世界中の肉の買い占めが起きているのです。
じゃあ日本も、肉を買い占めれば?と思うのですが、現在日本は円安。
中国以上の値段で輸入しようとすると、非常に高価な値段で買わざるを得ません。
それにより、結局国内での牛肉の値段は高くなります。
そして、肉の値段が高くなる理由はもう一つあります。
それは、「飼料である穀物の値上げ」です。
家畜の餌となる穀物は、小麦、大豆、トウモロコシなどですが、原油不足により、穀物が代替の燃料に回された結果、飼料として購入する穀物の値段が上がっています。
肉の生産拡大ができない理由
それであれば肉や穀物の生産量を増やせばよいのでは?と思われる方も多いのではないでしょうか?
しかし、それができない理由があるのです。
それは、今世界の主流となっている価値観「SDG’s」とも関係するものです。
・理由1:これ以上耕地・放牧地の面積を増やせない
第一の理由はこれです。
肉を生み出すには、土地が必要です。
牛を育てるには、放牧するための広大な放牧地が必要になります。
これは当然のことですね。
しかし、実はもう一つ必要な土地があります。
それが、餌となる穀物を栽培するための耕地です。
世界には今、これ以上この二つに割り当てられる土地がないのです。
これ以上広げようと思ったら、まだ開拓されていない場所、つまり熱帯雨林などを開拓する必要があります。
しかし、そんなことをすれば環境破壊、地球温暖化に結びつくということで世界中から大バッシングを受けるのは明らかです。
そのため、耕地や放牧地を広げるのは困難なのです。
・理由その2:家畜は温室効果ガスを排出する
第二の理由は、家畜自体から温室効果ガスが排出されてしまうことです。
家畜は生物なので、当然呼吸をします。
また、牛のゲップにはCO2より温室効果の高い「メタンガス」が含まれています。
このような状況で、家畜を増やすとどうなるか。
より地球温暖化に拍車をかけることになります。
そのような理由から、土地を広げることだけでなく、そもそも家畜を増やすこと自体が環境保護団体からの非難の対象になるのです。
このような状況の中、牛肉の代わりとなる肉が登場してきました。
代替肉と呼ばれる肉についてお伝えしていきます。
牛肉の代替肉登場
ここまで書いた通り、牛肉が高くなるのは世界的な兆候となっています。
日本でもすでに牛肉の高騰が始まっているため、どうしたら良いのでしょう?
それは、代替肉の活用です。
従来の牛肉以外に「大豆ミート」など、代替肉の商品も登場しています。
その技術は年々上がっており、見た目も味も本物の肉と遜色ない所まで来ています。
牛肉が高騰したとしても、食品の選択肢は増えています。
この大豆ミートで作れる料理は非常に多岐に渡ります。
ぜひ活用してみてください。
参考:https://www.marukome.co.jp/recipe/daizu_meat/
牛肉がなくなることはないでしょうが、今まで以上に代替肉に必要性は高まっていくと考えられます。
牛肉の代わりになるような代替肉の調理方法や、代替肉ならではの料理など、可能性も広がっています。
また、代替肉はカロリーが少ないなど、メリットも多くあります。
この代替肉の扱いをどれだけ増やせるか、どれだけ身近にできるかで、大きな結果に繋がっていくのではないでしょうか。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、牛肉の価格高騰とその理由、そして代替肉の紹介をさせていただきました。
まだまだ代替肉は未開拓なところが多く、いかに美味しく簡単に作れるか、そして活用方法など、可能性に満ちています。
ぜひ皆さんの参考になれば幸いです。
これからも「食産業通信」では店舗関係者、飲食店利用者、飲食業界の未来を創造する情報を発信していきます。