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僕がリア充になるからには都市伝説級になってやんよ 第1話「平凡な日常が突然ゲシュタルト崩壊」

漫画やアニメのようにリア充がしたい
さえない主人公が何故か美少女に囲まれてモテ期が到来するーーー
僕にもそんな夢物語を描いた事がある。

現実は甘くなかった。
大学生までだったらそういったチャンスはあったかもしれない。
自分から積極的に行動していればの話だけど。

僕の名前は高橋拓人(タカハシ タクト)
社会人五年目を迎えたシステムエンジニアだ。
僕は無難に仕事をして、事を荒立てずに
人間関係を構築して生きている。

新卒の頃は会社で成り上がってやろうと意気込んでいたが、
目の前の仕事に翻弄されて資格を受ける事が多くて、
先の事は考えている余裕がない。

趣味は漫画やアニメ、ゲームが大好きないわゆるオタクだ。
無造作ヘアという名のボサボサヘアーで黒縁眼鏡だが、
178センチと無駄に身長だけはある。

彼女は数年いない…。
セカンドDT(童貞)と罵られたらメンタル崩壊する。

僕の勤めている会社は「○○○」
誰もが聞いた事がある会社である。
場所は田町、男性7割。

女性社員は総務や経理、企画など事務系の部署にいる。
自社ビルなのに会う機会が滅多にない。
なぜならフロアが違うから。

僕の夢のリア充生活への扉は閉ざされているんだと思っていた。

あの一言までは。

2020年2月3日(月)

朝の通勤時間は心を無にする。
中央線の快速は常に混んでいる。
東京の奥多摩や八王子から乗っている人が多いからだ。

快速に乗って寿司詰(づめ)になるか、
比較的空いている各駅停車でゆっくり通勤するかの二択だ。

僕はいつものように最寄駅の三鷹から各駅停車で秋葉原まで行く。
山手線に乗り換えてそこから田町へ。

時間がかかるけど混雑時のストレスと比べると
断然こっちの方が良い。

いつものように自席へ着席して勤怠を押す。
「あれ?山田は今日休みかな…」
山田は僕の3つ下の後輩だ。

インフルエンザが流行っている時期だから
今日休みなのかなと気にしつつ、
僕は通常通り仕事を始めた。

お昼はエナジードリンクとサンドイッチ。
食事はお腹を満たせれば良い。
食べ終わったら残りの休憩時間はスマホゲームで遊ぶ。

いつものように同じ仕事、同じような食事、
何も変わり映えはない。
考えている事は今日発売のジャンプを
買わなきゃとか、録画したアニメを観なーーー

「高橋!」

課長に呼ばれた。
ビクッ!として慌てて背後にいた課長の方を振り返る。
ジャンプやアニメの事を考えてた時から課長から
何回か呼ばれていたようだ。

「高橋、山田の事聞いてるか?」
課長が腕を組みながら僕へ質問をした。
何も聞いてませんと返答する。

「実はあいつは1月末に急遽辞める事になった」
課長は何か考えながら言っているようで、
頭をポリポリ掻いている。

彼は1月末の木曜と金曜は有給を取っている。
法事で実家に帰っていた間に彼に何かあったとは思うけど、
そこまで言及するつもりはなかった。

「高橋、お前は今日から飲み会の幹事を任せる事になったから
よろしくな」

悪いね!と肩とポンとされて課長はそそくさと
自席へ戻っていった。

(΄◉◞౪◟◉`)

わけがわからないよーーー

僕は約30分ほど燃え尽きた灰のような状態になっていた。

状況を整理しよう。
何故僕が飲み会の幹事をやる事になったというと
[山田が辞めた]から。

山田は入社2年目で飲み会幹事を積極的に行ったり、
会社のイベントの運営にも関わっていたほど
優秀かつパリピ寄りの人材だった。

後任誰にするかと社内で協議した結果、
まだ一度も幹事をやった事がない僕になったそうだ。

罰ゲームじゃん!

段取りとか分からないからGoogle先生で調べれば
何とかなるかなと思っていた。
それ以前に人と話すイベントが発生する。

既に僕はガタガタ震えていた。
コミュ障の自分が人と話すのにどれだけ気を遣うと思っているんだ!
最初からクライマックスとはこの事なのだろうか。
僕は人生で初めて幹事をやる事になった。

課長からメールがきた。

ーーーー
[件名]お店の予約お願いします
[本文]
高橋へ
2月14日にうちの部で新しい案件のキックオフやります。
一部の女性社員が数名接待で参加してくれるから
オシャレなお店でよろしく。

追申 社内一美人の子も来るらしい

ーーーー

コミュ障で常に人の輪から外れていた僕に務まるか不安でいっぱいだ。
義務感に駆られながらも仕事の合間にGoogle先生で予習をしなければ。
前途多難な中、少しずつ僕の転機は訪れていくのだった。

—————————————————————————————————————————–

次回の更新は5月8日(金)
お楽しみに♪

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