あの合コンから2週間がたった。
高瀬さんと帰り際に連絡先を交換して何度かやり取りをし
高瀬さんおすすめの日本酒のお店に遊びに行かせていただくことになった。
‥これは、デートだよね。
こういうの久しぶりすぎて日程が決まった時からそわそわしている。
連絡を取り合ってみて感じたが、高瀬さんは社交的でフレンドリーな方だと改めて感じた。
いいものを素直にほめたり、話題もポジティブ。
出かけるのが好きみたいで友達も多い様子だ。
私とは正反対のタイプ。
話しているとうらやましい気持ちにもなったりした。
社会人の1週間は、はやい。
あっという間に高瀬さんと飲みに行く日になった。
これは、デートだよね?と自分に何度も確認して念入りに洋服を選んだ。
今年流行りのロング丈のスカートに、フリルがあしらわれたシフォン生地のトップス。
足元は普段はあまりチャレンジしないミュールを履いてみた。
「よし!」
恵比寿駅トイレの鏡の前で思わず気合い入れの独り言。
思ったより声が大きかったのか、周りにいた化粧を直している女の子に見られ赤面した。
待ち合わせ場所についたのは集合時間10分前くらいだ。
するとそこには高瀬さんが既にいた。
白いパンツにデニム生地のシャツ。シンプルな服をさらっと着こなして恵比寿の町になじんでいる。
「まみさん!」
私が声をかけるより前に高瀬さんが話しかけてくれた。
「高瀬さん、お待たせしました。」
「さっきちょうど着いたんです。タイミングいいですね。」
他愛ない話をしながらお店に向かった。
お店は駅から5分くらいで大通り沿いにあった。
聞いた話だと、ちょっとした人気店らしく予約なしで入るのは難しいらしい。
高瀬さんは仕事の付き合いで飲みに行ってから気に入ってプライベートでもよく来るようになったと話していた。
川が流れすように会話してくれる高瀬さんのおかげで自然と緊張はほぐれていった。
「まみさん、1杯目はビール?」
「あ、はい!ありがとうございます。」
頼んですぐにビールが出てきた。
泡がきめ細かい。これはおいしいやつだ。
「‥じゃあ、乾杯ー!」
高瀬さんが乾杯の音頭をとって、キンキンに冷えたグラスをコツンとぶつけ合う。
「くぅ~~~~」
ビールを飲んだ時に二人して同じ声を出して笑ってしまった。
「暑い日のビール、最高ですね!」
高瀬さんがとびきりの笑顔で話す。
「本当に!特にひと口目が違うんですよね。」
始めの一杯目はビール。
二杯目以降は日本酒を楽しんだ。
九州料理のお店で日本酒の種類はたくさんあった。
こんな雰囲気のものが飲みたいとお願いすると店員さんが出してくれてとても親切にしてもらった。
日本酒と九州料理を楽しみながら色々な話をした。
出身のこと、家族のこと、趣味、仕事について‥
高瀬さんの話は面白くて引き込まれる。
話を聞くのも上手で、わたしもいつもよりたくさん自分の話ができた気がした。
楽しい時間はあっという間でもう23 時になろうとしていた。
お互い飲むのが好きということもあり結構飲んだ。
高瀬さんはほんのり顔が赤くなっていてすこし酔っていることがわかった。
狙って行ったつもりではないがわたしがお手洗いに行っている間にお会計は高瀬さんが済ませておいてくれた。
「今日はありがとうございます!素敵なお店を教えていただいてごちそうにもなって‥。」
わたしがお礼を言うと、
「いやいや、ここのお店すごいおいしいからまみさんに紹介できてよかったよ。」
と、高瀬さんは満足そうに言った。
お店の外は夏の暑さを感じだがお酒に酔っているせいかあまり気にならなかった。
高瀬さん、おもしろくて社交的。
一緒にいると違う世界にいけたようなワクワク感が感じられた。
こんな人が彼氏だったら‥
ほろ酔い状態でふとこんなことを考えているとわたしの手に何かが触れた。
ん?
手‥握られてる?!
高瀬さんがわたしの手を握っていた。
突然の出来事すぎてびっくりしたが(こういうのはいつも予告なしに始まるとは思うのだが笑)
嫌な気持ちはしなかった。
わたしもその手を握り返した。
わたしたちは何を話すでもなく、駅までの間ゆっくりと歩いていた。
お店から駅まで約5分。
このとき、時間が止まればいいのに‥と少女漫画の主人公のような気持ちになった自分がいた。
きっとこれは恋だ。
次回の更新は9月11日(金)
お楽しみに!
前回の話はこちら:http://57.180.186.170/kanjimusou22/