ーam8:30ー
~~~~~~~♪
ーこの歌、懐かし~、朝から恋愛ソングかぁ
この曲の歌詞を意識して聴いたの初めてだ。
「震えるほど会いたくなるってすごいな…」
通勤中、思わずつぶやいていた。
私は 真理子。
あと数ヶ月後に30歳になる。いわゆるアラサーだ。
今回も誕生日までもたなかった。
まさに昨日、3ヶ月付き合っていた2つ年上の彼に振られたのである。
理由?
「 真理子の気持ちがわからない。ほんとにオレのこと好きなのか?」
っていう。
確かに、会いたくて震えるど好きだったか?と聞かれたら、Noかもしれない。
ーあぁ、今回は早かったなぁ。
たいていの恋愛が半年以内に終わる。
友人の間では半年超えたら奇跡だねと言われるほど。
1年通して付き合ったことがないから誕生日を一緒に祝ってもらった経験がない。
イベントごとにも疎い。
そもそも一人で過ごす時間が好きだったりするのだ。
ー今日は仕事帰りにジムでもいって汗かいてスッキリしようかな
さっ今日も一日仕事がんばろっ!
オフィスへ向かう足取りは意外と軽かった。
ーpm12:30ー
美紀:「えー!?また別れちゃったんですかぁ?」
真理子:「ちょっ、声大きいって」
昼休み、会社のすぐ近くにある餃子屋さんで、餃子定食をほおばりながら後輩の美紀が半笑いで見ている。
美紀:「真理子さんって、美人だし、仕事もできるし、モテる要素しかないと思うんですけど、、なんか変わってますもんねw」
真理子:「褒められてるのか、馬鹿にされてるのか、わからないんですけど」
美紀:「だってぇ、ここ餃子屋さんなのにカレーライスを注文するって、変わってると思いますw」
真理子:「カレーが好きなのよ。カレー食べると元気になるのよ。カレー好きに悪い人はいないんだから」
美紀:「出ました!謎の真理子様の方程式!」
好きな食べ物は何?と聴いた時に「カレーライス」と言う人はだいたい良い人が多い。というのが私の持論だ。
世の中にはたくさん美味しい食べ物がある中で、「カレー」が出てくるなんて良い人に決まっている。
そして、へこんだ時は好物を食べるに限る。
美紀:「そうだ!真理子さん!お食事会ひらきましょうよ!
わたしたちって世の中では需要まだあると思うんですよねっ!
大学の友達(男)が飲み会をひらいてほしいって言ってたので、真理子さん一緒に行きません?」
2つ後輩の美紀とは、前の部署が同じだった。
美紀はインカレサークルに入っていて友達が多い。
明るくて人懐っこい性格は同性からも好かれるタイプだ。
明るめな茶色のセミロングの毛先をワンカールに巻いていて、ボウタイブラウスにパステルイエローのスカートがよく似合う。
変わってると言われながらも美紀との時間は不思議と居心地が良い。
真理子:「お食事会?行くいく~」
美紀:「えー!ほんとですか!嬉しい~♡じゃっ早速先方に連絡しますね!
あと、お店はこっちで決めていいみたいなので、、、真理子さんのおすすめのお店教えてください♪」
真理子:「わたしがお店決めるの?!」
美紀:「だって、真理子さんってよく外食しててグルメなイメージなんですもん。せっかくだったらお店教えてほしいです」
真理子:「…なるほどね、了解♪」
美紀のこういうところが憎めない。私も褒められると期待に応えたくなってしまう。
ーpm6:30ー
真理子:「あぁ~!今日も仕事頑張った~!ジムでも行こうっと」
その時、携帯のリマインドに「お店を探す」と出てきた。
あ、そうだ。美紀にお店を探すよう頼まれていたんだっけ。
美紀はグルメって言ってくれたけど、私が知っているお店は教えてもらったところが多い。
23歳のときにお付き合いしていた6つ年上の会社の先輩、「勝さん」の影響だ。
グルメな先輩にいろんなお店に 連れていってもらったっけ。
なんだかんだで私もお店を開拓するのが趣味になった。
真理子:「勝さん、元気かな…」
その当時、自分でお店をやりたいという夢を叶えるために勝さんは退職した。
生活リズムのすれ違いから私たちは別れることになったのだ。
風の噂で都内でカジュアルフレンチのお店をやっていると聞いたな。
そんなことを思い出しながら、お食事会のお店をネットで探すために、カフェに向かった。
美紀にも美紀の友達にも喜んでもらえるよなお店を探さなくちゃ♪
新たな出会いにも期待しつつ、真理子はカフェに入った。
▼次回:7月3日金曜更新予定
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