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口より先に手を出すヤツはたいてい床上手 第4話

〜前回までのあらすじ〜

この物語は自信ナシ、友達・彼女なし、夜の営み経験なし、通称3Nの25歳の主人公山本翔太が巻き起こす、奇跡のファンタジーである!

大好きだった幼なじみの志穂と12年ぶりに偶然の再会を果たした翔太。

状況が整理できていない中、志穂が結婚していることを知り、さらに呆然としてしまう。

フットサルの試合が終わったあとも、動揺が隠しきれていない翔太。

信頼している航平が、志穂との出会いをきっかけに、成長したことを知る。

自分が知らない志穂の一面を知った翔太は、我に返る。

その時、航平宛に志穂から一通のメールが入る。

翔太と会いたい、という内容だった。

12年止まっていた針が今動き出す。


ーフットサルから2週間後ー

最後に志穂に会った夏祭りの時は、これでもかというくらいに快晴だった。

「うわ、、ジメジメするな。」

今日は、天気予報を見なくても分かるくらい、朝から傘が必要だった。

だが、12年のときを経ても、変わらず志穂へ伝えたいことがある。

それは、あの夏祭りのときに言えなかった想いだ。

まるで自分の人生が、ひとつの物語のように描かれている。

志穂と出会ってしまったことも、偶然ではなく必然だったのかもしれない。

「ここで運を使ってしまったら、おしまいだな。」

神様からのプレゼントだと思うことにした。

ただそのプレゼントは、あまりにももろく、持ち主の手元まで届かず消えてしまう。

叶わないのは言われなくても分かるが、なぜか期待をしてしまう。

「僕は本当に情けないヤツだな。」

こんな気持ちに陥るのは、12年前に勇気を振り絞れなかった自分が悪い。

過去は書き換えられないのだ。

家を出る前、何度も時計を見ていた。

待ち合わせ場所が、そんなに遠くではないことは、よく知っていた。

それでも何度も時計を見てしまう。

駅までの道のりも、早歩きになってしまっていた。

結局、待ち合わせ場所には予定より早く着いてしまった。

駅のコンビニに意味なく立ち寄ってもだ。

僕の気分は高揚していた。

なぜなら、何か起きそうな予感がしたからだ。

その勘を当てるかのように、待ち合わせ場所に人影があった。

人だかりの多い駅だが、待ち合わせ場所の時計台は、目印として最適だった。

その人影は、一際輝いて見えた。

芸能人がTVの収録をしているわけではない。

だが、その美しさは振り返ずにはいられない。

「よう、遅いんだから。」

「そっちが早いだけだろ。」

時計台にいた女神は、こっちを見るなりそう声をかけて来た。

まるで12年前のあの日のようだった。

「相変わらず、元気だな。」

「やっと、笑顔になってくれて嬉しい。」

先日のフットサルから、僕のことが気になっていたらしい。

そんなに笑顔で見つめられたら、僕の方まで笑顔になるのは当たり前だった。

2人とも大人になってしまったが、あの頃と変わらない情景だった。

変わったのは、女神の左手の薬指に指輪があることだった。

待ち合わせ場所から少し歩いた先にカフェがあったので、そこに入った。

チェーン店ではなく、個人経営のお店で店内も騒がしい様子ではない。

志穂と久しぶりに話すので、落ち着いた場所が良かった。

リサーチした甲斐があった。

「一緒に飲み物を買いに行こ!」

志穂の行動力とリーダーシップは本当にすごい。

この姿に、今までたくさんの人達が影響を受けてきたのであろう。

僕は不意に志穂に尋ねた。

「何でいつもそんなに明るくて、元気なの?」

志穂は不思議そうな目でこっちを見ていたが、ニコッと笑って僕に向かってこう言った。

「それが私のポリシーだから。」

発せられた言葉はとてもシンプルだったが、重みはとんでもなかった。

まるで、山本志穂の24年間の人生が詰まっているかのようだった。

それも嫌味がなく、心の底から思っているように感じた。

「これが、航平が感じたものだったのか。」

言葉では言い表すことができない。

自分は動揺を感じていたが、今日で自分が変われるかもしれないと心のどこかで、そう思っていた。

意気込みは上々だったが、飲み物を買って席に着くなり、志穂の顔を見れず黙り込んでしまった。

志穂は困り顔一つせず、優しくこちらに語りかけた。

「今日に至るまでのストーリーをお互いに話そうよ。」

話しやすい内容だが、話したくない。

なぜなら、中身がなく話す内容がないからだ。

過去と今の自分を比べてしまい、どうしてもうつむいてしまう。

志穂が急に話し始めた。

「私が今みたいに明るくなったのきっかけがあって、小学生の頃だったかな。」

「スポーツも優秀で、成績もいつも一番だったから、ちょっと嫉妬していた。」

自分のことだとすぐに分かったが、話に乗れない。

なぜなら、12年前のあの日、好きだった志穂に告白することなく、お別れをしたからだ。

「あまりにも突然だったから、お別れの日も言えなかった。」

「勇気を振り絞ろうとした少年に、私も本当のことを言えなかった。」

「だから私は、もっと人の役に立てるような人間になろうと決めたの!」

「今みたいに明るくなったのは、翔太のおかげだよ。」

「へ、、うそ言うな、、」

「あ、、!」

志穂の目は本気だった。

そこにいつもの笑顔はなく、僕の目を本気で見ていた。

その表情を見ているだけで、今までの不甲斐なさや情けなさが一気に溢れ出した。

それと同時に変わりたいという思いも込み上げてきた。

確信はないが、自分の可能性を信じてみたい。

「ふっ、」

込み上げてきた情熱が表情まで伝わってきた。

「良かった!あの頃の表情に戻っているよ。」

自覚はなかったが、志穂には伝わっていた。

そこから、今日に至るまでのストーリーをお互いに話した。

僕のストーリーは、ありきたりだったかもしれないが、志穂は退屈せずに真剣に聞いていた。

志穂のこれまでのストーリーは漫画のように色鮮やかだった。

たくさんのチャレンジをして、たくさんの人に影響を与えてきて今がある。

今度は僕がチャレンジする番だ。

約束の時間が終わり、お店から出ると不思議と雨は止んでいた。


ー5年後ー

「みんなの分はこれで足りるかな。」

僕にも守るべき家族がいた。

5年前志穂と出会った3ヶ月後に彼女ができた。

出会いのきっかけは航平が誘ってくれたBBQで、一目惚れだった。

この機会を逃してはならないと、小学生の頃にできなかったチャレンジをして、デートに誘ったのだ。

何回かデートを重ねた後、告白が成功して念願の彼女ができた。

これも志穂がカフェで背中を押してくれたからだ。

彼女ができた半年後、お腹の中に新たな命が宿った。

世にいう、できちゃった結婚である。

流石の志穂もこれには驚いていた。

そのとき志穂も身ごもっていたが、僕に向かって一言いった。

「良いパパになってね。」

その言葉に何度、救われてきたことか。

「パパ、何を作っているの?」

不思議そうに台所を見つめる娘は2歳になる。

「何だと思う?」

「わかんない、教えて!」

「残念、教えない。」

「パパのいじわる!」

フライパンの中を見たら、すぐに分かってしまう。

今日は娘の大好物のハンバーグを作っているのだ。

簡単にばらすわけにはいかない。

「翔太、教えてあげたら?」

娘は妻にそっくりだ。

人見知りせず、好奇心が旺盛だ。

妻も好奇心が旺盛だ。

学生時代はバスケ部のキャプテンで、チャレンジする心を忘れていない。

誰からも愛される本当に自慢の妻だ。

志穂とも仲の良いママ友である。

目の前の人は鏡、引き寄せの法則と言われているが、本当かどうか疑ってしまう。

ただ一つ分かったことは、どれだけ自信を無くす経験をしても、取り戻すことができる。

なぜなら、僕には勝利の女神がついているから。

 

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