こんにちは!
飲食店の未来を創造する情報をお届けする「UTAGE(うたげ)」です。
最近は日中も涼しくなり、外でも過ごしやすくなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
数ヶ月前から「新しい生活様式」が浸透していくにつれ、ご自宅で食事を楽しむ方が増えてきました。
なかでも、学校の休校などにより、お子さまと食事をする機会が増えており、多くのご家庭でも「食育」への関心が高まっています。
しかし、多くの方が日々の生活に追われ、理想の食事を摂れているかというと、答えはNoです。
そもそも「理想的な食事とは何か」を知らないという方も多く、お子さまに対してどのように食事の大切さを伝えればよいかわからないという悩みもあります。
こういった状況の中で料理人の方々が、お子さまに食事の価値や楽しさを伝えるための食育を行うことはとても価値のあることです。
また、並々ならぬ情熱で料理に向き合っている店舗では、食育を通じて集客アップと売上アップに繋がる可能性があります。
そこで今回は、食育の重要性、料理人による食育の活動事例を紹介し、飲食店はどのような取り組みができるかを考えてみます。
今、求められている「食育」とは
農林水産省によると「食育」とは、下記のように定義されています。
食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。
引用:農林水産省ホームページ「食育の推進」
「食育」は、子供の心と体を育てるために欠かせないもので、国も積極的に取り組んでいる教育活動のひとつです。
最近では大人に対する食育の重要性も高まっており、大人自身が健康になることはもちろん、食に関する正しい知識を子どもに伝えられる大人が増えることで、より食育の価値が高まると考えられています。
なぜ、料理人が「食育」に力を入れるのか
「食育」の活動は、多くの料理人が力を入れています。その要因として挙げられるのが、私たちの食生活の変化です。
外食産業の市場規模は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり縮小傾向にあります。一方、デリバリーや中食需要は高まっており、今後もますます成長が見込まれています。
中食に限らず、気軽に調理できる冷凍食品や加工食品が増え、手作りの食事を食べる機会が減少していると指摘されています。
このような食生活を繰り返していると、子供たちの味覚が育たず、外食して質の高い食事をしようという意識が薄れていきます。
つまり、料理人たちは未来のお客様となる子供たちに食育活動を通じて、食の楽しさや大切さを伝えることで食文化を守ろうとしているのです。
一流の料理人による「食育」の活動事例
東京・六本木の名店『日本料理 菱沼』の店主である菱沼孝之氏は、日本料理界をリードしている一流の料理人です。
菱沼氏は自店を経営する傍ら、食育活動に力を入れており2006年には『子供と一緒にメシ炊け!だしとれ!食育道場』を出版されています。
菱沼氏は、著書の中で「食育は難しいことではない!」と主張されており、「食育を始めたいけれど、どうしたら良いか分からない」という方の背中を強く押してくれる一冊です。
このような代表的な「食育」の活動事例を紹介します。
①“フレンチの巨匠”による「食の授業」
2019年ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問を務めるなど、日本の料理界を牽引しているフレンチの巨匠・三國清三氏は、全国の小学校で「味覚の教育」を10年以上続けています。
また、「KIDSシェフ教室」という活動も行い、子供たちに正しい食の知識や料理を楽しさを伝えています。
②料理人と三菱地所が仕掛ける「大人の食育」
三菱地所が立ち上げたプロジェクト『食育 丸の内』は、「“食”を通じて日本を活気にしたい!」という思いから2008年より立ち上がったプロジェクトです。
経済の中心地である東京・丸の内で働く方々を元気することを目的としており、テーマの一つは「大人の食育」です。
参画している料理人の中には、多くの一流の料理人を輩出している服部幸應氏をはじめ、『リストランテ アルポルト』の片岡護氏、
『Wakiya -笑美茶樓』の脇屋友詞氏など豪華な顔ぶれが揃っています。一流の料理人たちが、さまざまな取り組みを行うことで、大人が正しい食の知識を身につけ、子供たちに正しい味覚、安全でおいしい食材を見極める知識を伝えていることを目的としています。
③“超人シェフ”による「スーパー給食」
『超人シェフ倶楽部』という団体はご存じでしょうか。日本の食文化に関心の高い料理人が集まり、食育の普及、地産地消、味覚の再発見を目的とした団体です。
超人シェフ倶楽部に参画している料理人は、『新宿割烹 中嶋』の中嶋貞治氏、『美虎』の五十嵐美幸氏など、こちらも一流の料理人ばかりです。
当団体の取り組みの一つに『スーパー給食』があります。
一流の料理人が学校栄養士、調理員と一緒に給食のメニュー作りから調理まで行うことで、子供たちに本物の味を体験させ、食への関心を高めてようとする取組みです。
特に学校からの要望が多いのが、豆や野菜といった子供が残しやすい食材を使ったメニューの提案です。一流の料理人が工夫を凝らしたメニューを提供することで、どの学校でも食べ残しが減るなど、取り組みの効果が出ています。
「食育」を通じて選ばれる飲食店に
ここまで、「食育」の重要性や一流の料理人による活動の事例について説明してきました。
では、飲食店が食育活動を行い、集客と売上アップに繋げるためにはどうしたら良いのでしょうか。
農林水産省が公開している「食育ガイド」によると「食育は生涯にわたって大切にすべきことで、それぞれのライフステージに合った取り組みが必要」と書かれています。
また、先ほど紹介した『食育 丸の内』の旗振り役である服部幸應氏は、「食育の3本柱」として下記を提案しています。
①選食力を養う(旬の食べ物、日本食の魅力)
②マナーやしつけ(食のマナーを通じて社会を学ぶ)
③地球規模で食を考える(環境問題)
お客様にとって「食育」に取り組んでいる飲食店は、来店動機の1つになると考えます。
新鮮でおいしい料理を食べられるのはもちろん、知っているつもりになっている食のマナーやしつけを学べたり、フードロスなどの環境問題を考えたりするきっかけになると話題になれば、他店との差別化ポイントになります。
このような視点で、「食育」を意識したメニュー作りや体験イベントを企画してみるのはいかがでしょうか。
おわりに
今回は、「食育」の重要性や料理人による食育活動事例を紹介し、「食育」を通じて選ばれる飲食店になるための提案をしました。
外食産業を守るためには、正しい食の知識を持つ大人が増え、子供たちが健全な食生活を送れるよう支援する必要があります。
また、「食育」を意識した飲食店は、お客様にとって価値のある体験を提供でき、集客アップと売上アップに繋がる可能性があります。
今回の記事をきっかけに「食育」の大切さを再認識し、お客様に食の楽しさと大切さを伝え続けてほしいと思います。
これからも「UTAGE」では飲食店様の売り上げ、利益アップに貢献する情報を発信していきます。