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ジンジャーエールの甘さは青春ファーストキスの甘さと同じ 3話

-前回のあらすじ-

この物語は普通の男子高校生が背伸びをして、女教師へ淡い恋心を描いた甘酸っぱいストーリーである。
何かに秀でている訳でもなく、普通に17年間生きてきた主人公のひろゆき。
スポーツや勉強を頑張ってきたわけではない。
たまに青春をしている人を見ると落ち込むことがあるが、自分と比べても仕方がないとちょっと諦めている。
そんなひろゆきに奇跡が起きる!
小学生の頃に一目惚れをした女子高校生ちひろが、高校の教諭となり、ひろゆきの学校で担任として赴任したのだ!
衝撃の事実に動揺するひろゆきに対し、ちひろは担任初日のホームルームで、学級委員長にひろゆきを指名する。
小学生の頃にもらったジンジャエール以来のプレゼントであった。

-ホームルーム-

「それじゃ、このクラスの学級委員長をはひろゆき君、君に決めた!」
「え、僕ですか?」
僕の頭の中は、衝撃が走っていた。
「そんな君にはこれをあげよう!」
「ありがとうございます。」
10年前、小学校1年生だった僕にちひろさんはジンジャエールを渡してきた。
さっきまで氷水の中にあったのか、キンキンに冷えていてつめたかった。
だけど、まるで誕生日プレゼントをもらったかのように大切にジンジャエールを握りしめている自分がいた。
まさか10年経って、またプレゼントをもらうとは思わなかった。
「せ、先生、なんで僕が学級委員長なんですか?」
うろたえながらちひろ先生に向かって言った。
先生という言葉を使うのもなんか不自然な感じがした。
「うーん、なんだろう、ひろゆき君はこういう役回りをやった方がいいと思うよ。」
「え、、」
想像以上に中身がない理由だった。
周りの生徒も自分が学級委員長になりたくないせいか、何も言わない。
それもそのはずだ、面倒なことを率先してやりたがる人はそういない。
自分もそのうちの1人だったが、運悪くハズレのくじを引いてしまった。
キーンコーン、カーンコーン
ここで授業の終わりを告げるチャイムがなる。
「今日は午前中で終わりだから、みんな気をつけて帰ってね。」
「ひろゆき君、早速だけど挨拶をお願い。」
「あ、はい、、起立、気をつけ、礼。」
「ありがとうございました。」
午前中で学校が終わったにも関わらず、ものすごく疲労感を感じてしまった。
その疲労感は家に帰っても取れることはなかった。

-翌日-

昨日に比べて今日の朝は、なぜか変に目覚めが良かった。
その理由は自分でも分からない。
いつものように学校へ向かう自分がいる。
「おはようございます。」
朝早くにも関わらず、校門の前には生徒指導の先生が挨拶をしていた。
いつも通りの風景だ。
新学期2日目で、すぐに気が合うクラスメイトを見つけて談笑している人がいる、これもいつも通りの風景だ。
談笑している生徒の横で、静かに読書をしている人もいる、これもいつも通りの風景だ。
教室から見える外の景色も、ちょっと不揃いな机もいつも通りで変わりはない。
いつもと違うのは、10年前に一目惚れをした人が担任になったことと、自分が学級委員長をやっていることだ。
「起立、気をつけ、礼。」
「おはようございます。」
昨日のことが何事もなかったように、朝のホームルームが始まる。
ちひろ先生は昨日と違う装いをしていた。
昨日の始業式では、明るいグレーのスーツで決めていた。
今日は深い青色のニットに、黒色のロングスカートだ。
スタイルが抜群のせいか、シンプルな服装にも関わらず、雰囲気が他の先生と違う。
ちなみに10年前に会ったときは、すごいミニスカートだった。
当時もすごく魅力的だったが、今の方がより磨きがかかったように感じる。
「今日から本格的に授業が始まります、集中して取り組みましょう。」
特段すごいことを言っているわけではないが、ちひろ先生が話すとついつい凝視してしまう自分がいる。
「ひろゆき君どうしたの?私の顔に何か付いている?」
「い、いえ、、何でもないです。」
自分の目線に気づかれて、本気で驚いた。
クラスにちょっと談笑が起きる。
その後もホームルームの間、ちひろ先生のユーモアは続いた。
そのセンスの高さに、クラス全員の顔が明るくなるのが分かる。
人心掌握というと怒られるかもしれないが、その言葉がピッタリだと思うほど不思議な力を感じた。
最初に学級委員長をお願いされて断ることができなかったのも、この力のせいなのかと今になって思う。
もっと前にさかのぼると、ジンジャエールを渡してきたときからこの力が発揮されていたのかもしれない。
終始談笑でホームルームは終わった。
こんなにも退屈だと思わないホームルームは、人生で初めてだった。

-1週間後-

1週間もちひろ先生の元で学級委員長をすると、色々なことを頼まれる。
ちひろ先生が作った資料をクラスのみんなに配ったり、提出物を回収したり、重いものを持ったりなど、まるで社長秘書のようだ。
はたから見たら雑用をしているようにしか見えないと思うが、僕にとっては幸せな時間である。
ちひろ先生の役に立っているということが、何より幸せに感じる。
この頼まれごとを、僕は勝手に大好きな彼女からお願い事をされているという風に思い込みをしていた。
今日もちひろ先生からお願いされた提出物を届けに、職員室に向かっていた。
待ち望んでいた青春は、もうすぐ始まろうとしているのかもしれないと、僕は本気で思っていた。
そう、職員室の扉を開けるまでは。


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第2話はコチラ

「Coiラボ」は、今後も日常の中で発展したご縁や、新しい出会いに繋がる気付きをストーリーを通して発信していきます。

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