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ジンジャーエールの甘さは青春ファーストキスの甘さと同じ 4話

-前回のあらすじ-

この物語は普通の男子高校生が背伸びをして、女教師へ淡い恋心を描いた甘酸っぱいストーリーである。
何かに秀でている訳でもなく、普通に17年間生きてきた主人公のひろゆきだったが、高校2年になって、転機が訪れる。
10年前、小学校1年生の頃に一目惚れしたちひろが高校教師となって、ひろゆきの担任になったのだ。
その赴任初日のホームルームで、ひろゆきは突然ちひろから学級委員長を言い渡される。
最初は驚きを隠せないままのひろゆきだったが、徐々に慣れていきむしろちひろからの頼まれごとを待ち遠しく思うほどだった。
ひろゆきが学級委員長になって1週間がたった頃、いつもと同じようにちひろからお願い事をされて、職員室に向かおうとしていた。
物語の歯車はこのタイミングで動く。

-職員室前-

職員室に入ろうとしていた僕は、いつも通りだった。
いつも通りちひろ先生から頼まれた提出物を届けるために、職員室の前まで来ていた。
むしろ、ちひろ先生とお話できるかもしれないと思うと心がはずんだ。
「失礼します!」
僕は元気よく職員室の扉を開けた。
すると、いつもの席にちひろ先生が座っていた。
「ひろゆき君、いつもありがとう!先生いつも助かっているよ。」
「いいえー、なんてことないです。」
何気ない会話をしていた次の瞬間、僕はちひろ先生の机に気になるものを見つけた。
ハガキサイズの写真立てだった。
前から机にあったかも知れないが、気付いたのはこの瞬間だった。
普通、生徒が先生の机の上に置いてあるものなど、気にすることはないだろう。
しかし、ちひろ先生が大切にしているものには、興味があった。
まして、写真立てに飾っているのは、間違いなく記念写真か何かだろう。
そんな大切なものを覗き込むのは、失礼だと思っていた。
だが、ちひろ先生が飾っている写真立てに何が写っているか、無性に気になっている自分がいる。
これは、一般的な好奇心の、その上をいく感情に思えた。
でも、自分から覗き込む勇気がなかった。
気づいたらちひろ先生ではなく、無意識に写真立ての方をずっと見ていた。
するとちひろ先生の方から、僕に向かってこう言ってきた。
「ひろゆき君、どうかしたの?」
その瞬間、僕は一瞬動揺してしまった。
写真立てが気になっていると本当のことを言うか、ごまかそうか迷っていた。
だが、ここで聞かなかったら、この先タイミングはないかもしれない、とも思っていた。
他の人からしたら、別に大したことではないかもしれないが、僕にとってはとてもとても大きな決断だった。
その決断を、僕は迫られていた。
僕は勇気を振り絞って、ちひろ先生に聞いた。
「いえ、おしゃれな写真立てだなと思って。」
「そう?」
その時のちひろ先生は、何気ない会話に受け答えしているように見えた。
それもそのはずだ、この会話から僕の心の中が分かるわけがない。
ここでやめておこうかなと思ったが、なぜか先へ踏み込んでしまった。
「家族との写真ですか?」
緊張しているせいか、声が少し震えていた。
聞かれたちひろ先生はちょっと嬉しそうな顔をして、僕に向かってこう言った。
「気になっちゃった?実は将来の旦那さんなんだ、今年中に結婚することが決まっていて。」
その瞬間、僕は聞かなければ良かったという感情以上に、やっぱりかという思いが込み上げた。
世の中はそう簡単に出来てはいない。
ちひろ先生のような素敵な方に将来の旦那さんがいない訳がない。
まして、ちひろ先生と僕は生徒と教師の関係だ。
冷静に考えて、発展するような関係になることはまずない。
大人になって物事を考えるというのは、こういうことだと心で悟った。
「ひろゆき君、、、大丈夫?」
心の中で悟ったはずが、分かりやすいくらいに動揺している様子が表情に出ていた。
「い、いえ、、先生おめでとうございます。」
自分ではどうしようも無さすぎて、心の整理がついていなかった。
神様が僕を特別扱いしていたと思っていたが、それはただの思い込みでいつも通りの日常が予想以上に早くやってきてしまった。

-1週間後-

僕の学級委員長生活はいつもと変わりなく過ぎていた。
ちひろ先生との時間は楽しかったが、以前と比べて特別な感情はなく、淡々とこなしている自分がいた。
どこか青春を追い求めていた自分がいたが、ちょっと恥ずかしくなった。
努力をせずして、青春を得ることは出来ない。
この大切なことを教えてくれたことこそが、神様からのプレゼントに違いない、そう感じていた。
そんなある日、いつものように昼休憩で購買のパンを買おうとしたら、なぜか自動販売機のジンジャエールが目に入った。
自動販売機で売っているジュースのラインナップが、少し変更されたのだ。
大した事ではないが、その自動販売機を数秒見つめていた。
すると後ろから、声が聞こえた。
「ひろゆき君?」
振り返ると、そこにちひろ先生がいた。
「ち、ちひろ先生、、」
「何、自動販売機を見つめているの?」
「い、いえ、ジンジャエールを買おうかなと思っていて、、」
「へー、ジンジャエールか、懐かしいね。」
「懐かしいって、まさか覚えているんですか?」
「もちろん、大きくなったね、ひろゆき君。」
「キーンコーンカーンコーン」
「おっと、時間が過ぎるのは早いね、続きは放課後で。」
そう言って、ちひろ先生はその場を去って行った。
「続きは放課後で、確かにそう言ったよな。」
疑心暗鬼だったが、放課後職員室へ向かうことにした。
僕の物語はまだ終わらないようだ。


第1話はコチラ
第2話はコチラ
第3話はコチラ

「Coiラボ」は、今後も日常の中で発展したご縁や、新しい出会いに繋がる気付きをストーリーを通して発信していきます。

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