壊滅部署を救え!特命宴会課長 現る!! 〜第5話〜

〜前回までのあらすじ!〜

主人公・二階堂 薫は◯×商社に勤める「勤続10年・仕事一筋・一筋すぎて童貞」という新任若手課長!!
ひょんなことから二階堂は、壊滅寸前の第七営業部の再興と会社の一大プロジェクトのポジション争いを懸けた、運命の懇親会幹事に任命される!

第六営業部と第七営業部との黒い噂を流した張本人が、
◯×商社の役員・四嘉羽 邪昆(しかばね じゃこん)の仕業であることが発覚!!
その目的は二階堂の昇進の妨害!!
そしてヒロイン・一ノ瀬の突然の失踪(出張命令)!!

崖っぷちに立たされた二階堂!!
そしてとうとう懇親会当日!!
クライマックスを迎えた特命宴会課長、第七営業部、そして◯×商社の運命や如何に!? 

【登場人物】
・二階堂 薫(にかいどう かおる)・・・◯×商社 第七営業部の課長。学業と仕事一筋。そのため童貞。通称『仕事人』
・一ノ瀬 翔(いちのせ しょう)・・・◯×商社 第六営業部に配属された超絶美少女の新人。通称『飲み会のモーツァルト』
・五利 文明(ごり ふみあき)・・・◯×商社 第六・七営業部の部長。第七営業部を再興するため、二階堂に懇親会の開催を依頼する。実は大の甘党。通称『世渡り上手』
・三宮 衛(さんみや まもる)・・・◯×商社 第六営業部の若手社員。角刈りのスポーツマン。社内でも『仕事人』と称賛される二階堂のことを尊敬している。通称『エリート社員』
・四嘉羽 邪昆(しかばね じゃこん)・・・◯×商社 役員。そして三宮 衛の
父親。

◯月×日。
ついに迎えた懇親会当日。

二階堂・一ノ瀬・三宮・五利部長の4人は、会場近くのプロントで最後の打ち合わせのため集まっていた。

「一ノ瀬…。よく戻ってきてくれた!!」

この日のために、わざわざ台湾から駆けつけてくれた一ノ瀬が目の前にいる。

「いえいえ、皆さんのためなら…。それに私はこの懇親会が◯×商社​​の社運が賭かった、どんな商談よりも大切な懇親会だと思っています。それに、ここまで皆さんがこんなに準備してくれたのに私だけ最後に除け者だなんて寂しいですっ!!」

少し膨れっ面をした一ノ瀬が、五利部長の顔をじっと睨んだ。
五利部長は「ごめんごめん(笑)」と何だかバツが悪いような平謝りをして、一ノ瀬の機嫌を取っていた。

「それにしても、二階堂さんから『当日、何時の便で羽田に来るの??』って聞かれた時は流石に驚きました(笑)」

実は、一ノ瀬の帰国をお願いしたのは、他ならぬ二階堂だった。

わざわざ懇親会のために台湾から帰国などということは全くイレギュラーな話かもしれないが、幹事というものがよく分かっていなかった二階堂は、『懇親会幹事』という仕事を任された以上、一ノ瀬が当日帰国してでも懇親会に出席するものだと思い込んでいたのだ。

それを五利部長に話したところ、五利部長が「何で??」という顔で3秒ほど硬直していたのを鮮明に覚えている。

「しかし本当に戻って来るとはなぁ〜(笑)」
三宮が呆れ顔で感心した表情を浮かべている。

「当たり前です!新人とはいえ、私も◯×商社​​の社員なんですよ!!
五利部長から何度も帰国を止める電話が掛かってきましたが、私の心はもう既に、二階堂課長のラブコールが掛かってきた時から決まっていましたからね!(ドヤァ)」

二階堂(童貞)は『ラブコール』という響きに少しドキッとした。

「な〜にを動揺しとるか!二階堂くん!!」

「そんな!動揺なんて!!懇親会の時間が近づいてきて、少し緊張しているだけです…。
それにしても五利部長、随分と楽しそうですね…?」

「そりゃあ勿論じゃ!!今日のデザートの『ミックスベリーのベイクドチーズタルト​​』が待ち遠しくてな!!わざわざこれだけコースに追加して貰ったのは正解じゃった(笑)」

「さっき銀座のGODIVA​​カフェに行って、マリトッツォ食べて来たって言ってませんでしたっけ…??」

 

今日の会場は「プロジェクトの晴れやかな門出に相応しいように」というコンセプトで、フレンチやイタリアンのテイストを取り入れた創作料理を中心とした銀座の「MAIMON」というお店にお願いした。
下見に行ったところ、店内も綺麗で店員さんの対応も素晴らしく、プライベートでもデートで使いたいと思えるような場所だ。
願わくば一ノ瀬と…。

そんな妄想が膨らみかけた二階堂の背中を勢いよく叩いて、五利部長は檄を飛ばした。

「とにかく!細かいことは気にしなくて良い!あとは今日の懇親会を思いっきり楽しむだけだ!!」

「「「はい!!!」」」

五利部長の言葉に激励され、二階堂・一ノ瀬・三宮はシャキッと姿勢を立て直した。

 

お店側に協力してもらい、入り口からのエスコートは三宮と店員さんの2名で行ってもらった。
流行り病で人数を絞っているとはいえ、営業部の多くのメンバーが来るため、お店側に迷惑が掛からないよう顔が広い三宮にお出迎え役として協力してもらうことにしたのだ。

また、席に向かうと先に着いていた一ノ瀬が全員の席を案内してくれていた。
みんな、台湾に行った一ノ瀬との久しぶりの再会にテンションが上がっているようだ。
「懇親会の前の空気は大事」と一ノ瀬に教わっていた通り、始まる前から和気藹々としたムードだ。「一ノ瀬に来てもらって良かった」と二階堂は心底安堵した。

席を見て、大方人数が揃ったことを確認した二階堂は、三宮を呼び戻すために入り口に向かった。
すると店の前に、黒塗りのハイヤーが一台止まった。

そして…。

 

「やぁ。」

「親父…!!!」

四嘉羽 邪昆だ。

白髪・白髭の黒い袴姿で、手には杖を持っている。
顔のしわには、過去の経験が年輪として刻まれているかのように威厳のある風格を醸し出していた。

「親父、足は大丈夫か?」

「あぁ、ありがとう衛。大丈夫じゃ、折角招いて頂いたんじゃからな。今日は楽しみにしておるよ。」

四嘉羽 邪昆は五利部長の力を借りて今日、懇親会に呼んでもらった。
この懇親会を通して、四嘉羽に二階堂の人間性を認めてもらうことが今日のミッション。
その重要性が分かっているからこそ、三宮も実の父親を前にして少し緊張気味だ。

そんな様子を察してか、二階堂はサッと三宮の横に立ち、四嘉羽に挨拶をした。

「四嘉羽さん、幹事の二階堂です。本日はご足労頂きありがとうございます。
お話するのは、入社式以来かもしれませんが…。」

「おぉ、君が二階堂くんか。噂は聞いとるよ。
勤続10年目にして、最年少で課長になった『仕事人』と聞いておる。こうして腰を落ち着けて話すのは、殆ど初めてかもしれんな。今日はよろしく頼むよ。」

「はい!!」

よろしく、と言った四嘉羽の表情は思いのほか柔らかく、二階堂は少し安心して四嘉羽を席へエスコートした。

 

「四嘉羽さん!」

席に案内すると、一ノ瀬が四嘉羽の前に一目散に現れた。
自分を台湾に異動させた相手にも関わらず、笑顔で出迎える一ノ瀬の対応力は流石だ。

「やぁ、一ノ瀬くん。頑張ってるかね?(ニコッ)」

四嘉羽も一ノ瀬のことはどうやらお気に入りのようだ。
確かに、今回一ノ瀬を異動させたのも、彼女を優秀な人材として見込んでのことだろう。
四嘉羽の顔からは、ある意味、一ノ瀬を人として信頼している表情が見てとれた。

そこで二階堂は一つの考えに至った。

「意外と悪い人ではないのでは…???」

 

談笑する一ノ瀬と四嘉羽の様子を見て、二階堂は三宮へアイコンタクトを送った。

上着を預かり、四嘉羽が席に座ると、三宮はグラスを持ってきて四嘉羽にワインを注いだ。
三宮は学生時代、学費を稼ぐためにもともとホストで働いていた経験があるらしい。
片手で美しく赤ワインを注ぐと、四嘉羽は少し嬉しそうな表情を浮かべた。

「かっこいい!!」

二階堂が三宮のワインを注ぐ姿に見惚れていると、五利部長が横でポツリと呟いた。

「そういえば以前、三宮は『父と呑む酒は一体どんな味がするのだろう。』と漏らしておったな。今日、その夢が叶うかもしれん。二階堂くん、良い仕事をしたな。」

「五利部長…。ありがとうございます。五利部長が四嘉羽役員に根回ししてくれたおかげです。」

「はっはっは(笑)
儂は何もしとらんよ。ただ『息子とお酒を飲める機会があるかも』と言っただけだ。
ただ上司に片手で注ぐのは、会社員としてはどうかと思うがね。(笑)」

「はは(笑)」

「どれ、儂もワインにするか!!二階堂くん、注いでくれるかね?」

「はい!!」

 

これは後日談となるが、二階堂が三宮の真似をしてワインを注ごうとしたら五利部長のズボンがびちゃびちゃになったという話は、ここでは割愛しておこう。

周囲は爆笑し、
二階堂は慌てふためき、
一ノ瀬はお店に謝りながら掃除を手伝い、
三宮と四嘉羽は気づかず飲み語り、
五利部長は激おこで、
何はともあれ二階堂の幹事デビューは、ある意味 大成功とも大失敗とも言えるような『記憶に残るデビュー戦』となったらしい。

 

 

プルルルプルルル

とある平日の正午。
◯×商社 第七営業部のオフィスには賑やかに電話が掛かってくる。

ガチャッ

「二階堂部長〜〜〜〜!!
海外のインフラ案件の追加発注の件で、常駐先の一ノ瀬先輩からお電話です!!内線繋ぎますか?」

「あ、あぁ!!ちょっと待って!!携帯から掛け直す!!
三宮課長!!さっきの打ち合わせの件、電話のあとでもう少し話し合いましょう!!
君の意見はいつも頼りになるから、もう少し詳しく聞かせてもらいたいんだ!よろしくね!」

 

ピポパ、プルルル…

ガチャッ

「もしもし、一ノ瀬?」

「もう!『翔って呼んで!』って何回も言ってるでしょ!?
今日ドバイのお客様と話してたら、是非薫くんと会ってみたいって!!」

「また、あの懇親会の話か(笑)」

「ニカイドー・ファンタスティック・幹事!!って言ってたよ(笑)」

「何だそれ(笑)」

「いいでしょ!!次の大口取引の大事なお客様なの!!
とはいえ私も今なかなか手が離せなくて…!
幹事、お願いしても良いかな!?(笑)」

「幹事、大変なんだよなぁ〜…(笑)」

特命宴会課長 完!!

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壊滅部署を救え!特命宴会課長 現る!! 〜プロローグ〜
壊滅部署を救え!特命宴会課長 現る!! 〜第1話〜
壊滅部署を救え!特命宴会課長 現る!! 〜第2話〜
壊滅部署を救え!特命宴会課長 現る!! 〜第3話〜
壊滅部署を救え!特命宴会課長 現る!! 〜第4話〜

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