壊滅部署を救え!特命宴会課長 現る!! 〜第2話〜

〜前回までのあらすじ!〜

主人公・二階堂 薫は◯×商社に勤める「勤続10年・仕事一筋・一筋すぎて童貞」という新任若手課長!!
ひょんなことから二階堂は、壊滅寸前の第七営業部を再興するために懇親会の幹事に任命される!
そして、そんな二階堂の相棒として突如現れた一ノ瀬 翔は絶世の美少女だった

動揺する二階堂(童貞)!!
果たして第七営業部の再起を懸けた懇親会は成功するのか!?
そして二階堂の童貞の運命や如何に!? 

【登場人物】
・二階堂 薫(にかいどう かおる)・・・◯×商社 第七営業部の課長。学業と仕事一筋。そのため童貞。通称『仕事人』
・一ノ瀬 翔(いちのせ しょう)・・・◯×商社 第六営業部に配属された超絶美少女の新人。通称『飲み会のモーツァルト』
・五利 文明(ごり ふみあき)・・・◯×商社 第六・七営業部の部長。第七営業部を再興するため、二階堂に懇親会の開催を依頼する。実は大の甘党。通称『世渡り上手』

「お…!女…!!!?」

「そうとも!
才色兼備!!
仕事も優秀!!!
配属直後から部内での信頼も厚く、今月の営業成績はトップ3!
儂も今後の活躍を大いに期待している期待の新人・一ノ瀬 翔くんだ!!」

二階堂は目を丸くして、目の前に立つ美女の顔をがっつりと眺めた。

「初めまして!この度、第六営業部に配属になった新人の一ノ瀬 翔です!
男の子みたいな名前ですが、営業部の花として心機一転・紅一点!
皆様のお役に立てるようにがんばります!
二階堂課長、どうぞよろしくお願いします!」

まさかのハイスペック美少女の登場に、童貞の二階堂は脳の水分が蒸発するんじゃないかというくらいのショックを受けた。
瞼の裏には三途の川の向こう側で祖母が「グッジョブ」と親指を立てている姿が見える。

心を落ち着かせるため、あらかじめ頼んでおいたアイスコーヒーを口に含み、二階堂は再び話を戻し始めた。

「それで…彼女と私が懇親会の幹事を?」

「そうとも。
彼女は第六営業部では『飲み会のモーツァルト』と呼ばれる程の天才だ。
今回の懇親会は、全て君達二人に一任しようと思っている。
二階堂課長も彼女に付いて、飲み会の何たるかを学んでみると良い。」

なるほど。
口ぶりから察するに、五利部長は今回の懇親会には一切関わらないつもりらしい。
普段面倒見の良い五利部長の印象とは、若干かけ離れた言動だ。

「フフフ…!」

二階堂の考えを見透かしたかのように、五利部長は不敵な笑みを浮かべた。

「実は、この懇親会にはもう一つ重要な使命(ミッション)が含まれておってなぁ。
以前提案して貰った、海外のインフラ整備に関わる新プロジェクトがあるじゃろう?」

二階堂はゴクリと唾を飲んだ。

海外のインフラ整備に関わる新事業の立ち上げ…。
数日前、この喫茶店で部長と打ち合わせをした重要な案件だ。
社運を懸けた一大プロジェクトで、今年度の売上を最も大きく左右すると言われている重大プロジェクトで、新人の一ノ瀬も一度は耳にしているはずのプロジェクトである。

しかし、懇親会と一体何の関係が…?

「フフフ…。社長含め、我が社全体としてもこのプロジェクトには優秀な人材を斡旋したいと考えていてなぁ…。そこでこの懇親会が成功した暁には!!」

ドゥルルルルルルルルル……

二階堂と一ノ瀬の頭の中でドラムロールが流れ始めた。

ジャーーーーーーン!!!

 

「そのプロジェクトの重要ポジションに君と一ノ瀬くんを斡旋しよう!!」

「「えぇーーーーーーーーーーーーーーー!!!????」」

二階堂と一ノ瀬の叫びが、絶妙なハーモニーを奏でて店中に響き渡った。

 

「つ、つまり!!この懇親会の成果如何では、私だけでなく一ノ瀬くんのキャリア、引いては当社の今年度の成績にも大きな影響があると…!!?」

「説明ご苦労!その通りだ!!!」

 

ががーーーーーーーん!

これは責任重大だ…!!!

 

二階堂は度重なる予想外の出来事に、脱水状態の脳へエナジードリンクをぶっかけられたんじゃないかと思うくらいの衝撃を受けた。

「し、しかし、初幹事としてそのリスクは重すぎるのでは………!?」

日和(ひよ)る二階堂に対し、五利部長は猛牛のような圧を放った。

 

「だからお前は童貞なのだ!!」

 

ががががががーーーーーーーーーーーーーん!

稲妻が走った…。

 

確かに。
初めてのチャレンジだからといって一々臆していては前に進む事はできない。
そしてこれは誰もが羨むような昇進のチャンス。
しかもサポートには『飲み会のモーツァルト』と呼ばれる程の達人、一ノ瀬 翔がいる。

これは仕事以外に何の取り柄もない自分を変える大きなチャンスなのでは…?

二階堂はそんな事を考えながら、五利部長の目を見つめ返した。
五利部長の期待を一心に感じる…。

二階堂は覚悟を決め、「グッジョブ」と親指の仕草で答えた。
アイスコーヒーを載せたコースターが、程よく湿っていた。

 

 

喫茶店を出た二階堂は、快晴の空を見上げ、ふぅ〜っと息をついた。

「まさかの展開だったな…」

「二階堂課長っ!」

不意に名前を呼ばれたので後ろを振り返ると、後を追って来る一ノ瀬の姿が見えた。

「おや?五利部長は?」

「これから引き続き商談があるようです。
なので私も『課長と一緒に先にオフィスへ戻れ』と。
部長って本当に忙しい人ですねぇ〜」

「いや、案外二個目の巨大パンケーキを頼むための建前かもしれんぞ。
さっき完食したチョコテイストの他に、ミックスベリーのパンケーキも置いていたからね」

二人はあれだけ真剣な眼差しをして語っていた五利部長が、うって変わってパンケーキを前に乙女のように目を輝かせる姿を想像して、クスクスと笑った。

「それにしても、何から始めよう?」

「そうですね…。二階堂課長は、宴会の幹事って初めてされるんですよね?」

「うむ。」

「なるほど…。それじゃあ今日の夜、私が幹事を任されている第六営業部の飲み会があるんですが二階堂課長も一緒に参加しませんか?それなら私が普段どんな立ち回りをしているのかも分かりますし…」

「だ、だ、第六営業部の…!?」

「あ、すいません!忙しかったですよね!?
気にしないでください!」

「い、いや!予定は大丈夫なんだが…」

二階堂が気にしていたのは、第六営業部と第七営業部の関係だった。

新人の一ノ瀬は知らないだろうが、第六営業部と第七営業部は月とすっぽん程の売上の差がある。
そのため第六営業部の人間の中には第七営業部のことを、自分達の売上を食い潰す『穀潰し』とまで思っている人間も居ると聞く…。

そんな犬猿の仲とも呼べる第六営業部の飲み会に行くことは第七営業部の二階堂にとって、敵ホームのスタジアムにアウェイチームのユニフォームを着たハムスターが単身乗り込むようなものだった。

しかし社運を懸けた超重要プロジェクトに任命されるためにも、今取れる情報は全部取っておきたい…!

どうする…!
どうする…!
どうする…!

 

「い、行ってみよう…!」
二階堂はあらゆる感情を噛み殺し、一ノ瀬の誘いを受けた。

「良かった〜!!
二階堂課長もお忙しい方ですし、もし断られたらどうしようと思ってドキドキしてました!
課長がゲストで来るとなったら皆も大盛り上がりです、楽しみですね!」

「…。」

「課長…?」

「う、うむ!楽しみだ…!」

 

二階堂は脇腹の汗を感じながら、何故かアイスコーヒーで湿ったコースターの光景を思い出していた。

 

次回!
犬猿の仲と呼ばれる第六営業部の飲み会を潜入調査することになった二階堂!!
そこで魅せた『飲み会のモーツァルト・一ノ瀬 翔』の真の実力!!
果たして、波乱の「第六営業部 飲み会編」はどんな結末に!!?
そして敵地真っ只中に放り込まれた二階堂の運命や如何に!?

To be continued

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