崖っぷちOLの幹事物語 1話:理想の結婚生活を手に入れたい

日曜の昼下がり。

せっかくの休日だというのに私は家にいた。

風の吹かない部屋なので扇風機は必須だ。

だらだらとベットの上で何をするわけでもなくただそこにいた。

 

「やっば。来月誕生日…」

思わず呟いた28歳の夏の日。

 

今年で29歳。

おかしいな、もう結婚して第一子が生まれているはず‥。

中学生の時に思い描いた理想の結婚生活を今になって思い出した。

 

大学を卒業して、就職。

社会の波にもまれながら今のらりくらりと社会人やってる。

仕事もプライベートも恋愛も同時進行なんて人生ハードモードかよ‥

誰か人生がうまくいく攻略本を出してほしい。

きっとベストセラーになる。

少なくとも私は買う。

 

紹介が遅れたけど、

私は 竹内 まみ

28歳。今年で29歳。

都内勤めのどこにでもいるようなOLだ。

 

ぼーっとここまで来ちゃったけど、

わたしだって何かに夢中になってみたいし、結婚だってしたいし、

今更醸してないけど、俗にいう”青春”ってやつに憧れがある。

 

こんな風に人生に何か変わればいいと思っていても行動しないわたし。

この夏、今いる枠から大きくジャンプして新しい自分になれるなんて。

このときはまだ想像もしてなかった。

 

今日は月曜日。

それにしても最近暑い。

今日も満員電車に揺られながら会社に向かう。

始業は9時。

慣れたものであっという間にお昼休憩になった。

うちの会社にはオフィスとは別の階にカフェテリアがあってそこで食事する人が多い。

そこまでだだっ広いわけではないので同じ空間にいると同僚の話が聞こえたりする。

「今週土曜。相手は経営者、外資系コンサル、大手銀行マン!優良物件そろいじゃない!」

隣の席に座っていた、同じ部署で同期の佐藤 陽子の声が聞こえた。

陽子は華やかな外見で性格もあかるく社交的だ。

誰とでも仲良くなる。最近彼氏と別れたと聞いた。

 

会話の内容を察するに、合コンね。

「問題は1人女の子の頭数が足りない!せっかくいい機会なのにまわりのは結婚してる子もおおいからな‥」

と、陽子が話す。

 

昨日の昼下がりに、

学生時代に思い描いた理想の結婚生活の話がフラッシュバックした。

 

「ねえ陽子ちゃん、わたしそれ参加したい!」

咄嗟に発した自分の声にびっくりした。

想いより先に行動が出た、そんな瞬間だった。

ありがとう助かる!と、陽子はわたしの提案を快く受け入れてくれた。

午後の業務はそこまで量もなくすんなり終えることができた。

18時。

仕事は終わり帰宅する。

帰りの道中で、お昼休みのことを思い出した。

‥わたし、なんであんなこと言ったのかな。

合コンに参加したいと自分から名乗りを上げたことだ。

いつもしないことだからこそ、きっと意味があるものなんだろう。

そう、ポジティブにとらえ、コンビニで缶ビールを買ってから家に帰った。

 

合コン当日。

わたしは迷っていた。

そう、着ていく服だ。

ワンピースは狙いすぎかな。

でもスカートはパッとしない色しかないし‥

さすがにジーパンはないかな

頭の中の独り言でさっきから堂々巡りだ。

結局オフィスでもきれるようなベージュのワンピースにした。

久しぶりの合コン。素敵な出会いがあればいいなとほんのり期待しながら準備した。

 

女子で待ち合わせをしてお店に向かう流れらしく

私はそわそわしながら待ち合わせ場所で本日の合コンメンバーを待っていた。

「おまたせ~!」

陽子が元気に走ってきた。

鎖骨の見えるブラウスにレーススカートがとても似合う。まさに合コンな服装だった。

わたしもう少し攻めてもよかった?少し後悔した。

 

女子はそろったのでお店に向かう。

恵比寿駅から徒歩1分にそのお店はあって、

地下に入っていくと大きい水槽に魚が泳いでいてとても綺麗だった。

こんなお店で合コンできるなんてラッキー。

私たちより先に男性陣は到着していた。

今日は4対4

席について何を話せばいいのか‥と困っていると自己紹介が始まった。

合コンにこなさ過ぎて忘れていたけど、

そうよね、まずは自己紹介するよね。名前も知らないんだし。

おいしいお酒とご飯を食べながらたのしく自己紹介の時間を過ごした。

4人は趣味でやっている社会人フットサルで仲の良いメンバーらしい。

この中でダントツ人気なのは、パイロットの宮本さんだろう。

そもそも職業パイロットという時点で勝ち組なのではと思ったが

それだけじゃない。顔が整っていてよく笑い会話も出来る。

本当にこんな人いるのか‥。一言で言ってイケメンだ。

わたしも自己紹介を話した。

自己紹介なんてするの、今の会社に入社した時の歓迎会振りだ。

なんの変哲もない自己紹介だったけれど、

幸い周りの人が優しかったのか、みんな温かいリアクションをとっくれてありがたかった。

自己紹介も終わり、おのおの会話を始めた時、

 

「まみさんはどんなお酒が好きなの?」

 

ふいに質問された。

目の前に座っている高瀬さんだ。

高瀬さんは都内で飲食店と美容室、あとIT業をしている経営者の方だってさっき自己紹介ではなしていたっけ。

本当に今日の合コンはレベルが高い!

高瀬さんが質問してくれたのも、私がさっき自己紹介でお酒が好きと話したからだ。

 

「わたしは日本酒が好きなんです。高瀬さんもお酒は飲まれますか?」

「日本酒おいしいよね。お酒は好きだから割となんでも飲むよ。強いわけじゃないんだけどね。」

「意外ですね。お酒強そうな感じに見えます。」

「よく言われるんだけどね!」

 

いつの間にか高瀬さんとずっと話していた。

高瀬さんは会話が上手で自然とわたしも自分の話を積極的にしていることに気づいた。

笑うと、目が細くなって笑いじわができるところも素敵。

こんな人が彼氏だったら‥

 

「今日はもうお開きね!」

 

幹事である陽子が話す。

楽しい時間はあっという間だ。

少し名残惜しさを感じながらお店の外に出た。

 

「今度、日本酒飲みに行こうよ。」

高瀬さんが帰り際にそう誘ってくれて連絡先を交換した。

 

素直に‥うれしい。

これってもしかして恋が始まりますか。

 

帰りのコンビニで缶ビールを買って、

 

帰り道、1人二次会を楽しんだ。


次回の更新は9月4日(金)!
お楽しみに♪

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