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僕がリア充になるからには都市伝説級になってやんよ 第5話 伝説級になるための飲み会はここが起点だった

ーーー飲み会当日 午後5時 新宿西口改札前

「あわわわわ…無理だよぉ…」
心の声が出てしまうほど一抹の不安を抱えながら落ち着きのない僕。
自称しなくてもコミュ障SEが人生で一番頑張っていると自分で自分を賞賛したい。

篠原未來とマリンとの待ち合わせは午後5時半。
心配性な人ほど待ち合わせに早く来すぎる説を某TV番組で提唱したい。

実は13時から美容院で人生で初めて「イケメンの髪型にしてください」と言って髪型を整えてきた。
ついでに美容師のお兄さんから色々と勧められて眉毛まで整えることに。

生まれてこの方、眉毛の処理をした事がなくて新鮮な気持ちだった。
少しはイケメン俳優Tに似ているといいな、と、淡い妄想をして待ち合わせの時間を潰しているのだった。

「おまたせ」
「せんぱ~い!お待たせですっ」

一人はクールに、もう一人は明るく元気いっぱいな声だった。
二人が近付いてくると、僕は一瞬顔をしかめてしまった。

「あれ?二人とも…(顔がいつもよりも違う気がする)」

会社で見ている彼女達の印象が普段よりもとても華やかに感じた。
篠原未來はグレーのトレンチコートの中に洗練されたターコイズブルーのひざ丈ワンピースを着ている。
元が美人なだけにミディアムヘアーに三つ編みのハーフアップがとてもよく似合っていて、道行く男性たちは連れがいたとしても、彼女に注目してしまう。

「(これで性格が優しかったら最高だった…)」

マリンは桜色のシフォンワンピースとツーサイドアップの髪型だ。
少女のような幼さを残した服装である。
好みが分かれそうな、池袋の乙女ロードにいそうな、ロリータを思わせる。

「(休みの日はこんな服装するんだな。)」

吟味するような視線は彼女達にバレバレだったが、何事もなかったように塩対応をされる。

ーーー午後5時45分 新宿歌舞伎町 某肉バル店

新宿西口から歌舞伎町に行くまでに徒歩3~5分程。

東口と違って信号待ちが大ガードで一回のみ。
海外からの旅行客や人口密度が東口よりもやや少なめで、歩きやすい。
キャッチやスカウトなどの変な輩と遭遇する確率が東口と比べてほぼゼロに等しいのも利点だ。

駅までの導線や治安のメリットについて彼女たちに語っていたら、あっという間にお店についた。

「いらっしゃいませ!ご予約のお客様ですか?」
オープンの時間は午後6時で、少し早く来すぎた僕達は店の前で立ち往生していたら、店員さんが気を利かせてくれて快く歓迎してくれた。

「6時に予約していた、た、高橋でしゅ…っ!」
自分の名前なのに噛んだ。

「フフフ。高橋様!お待ちしていました。」
店員さんは思わず笑ってしまう。
後ろにいた二人のうちどちらかが吹いた気がした、多分。

 

ーーー某肉バル店 店内

 

「「すごーーーーーい!!」」

篠原未來とマリンはお店に入店するなりテンションがいきなり爆上がりしたようだ。

「お店はお肉があるのがいい」と、ざっくばらんな希望を貰っていた。
女性の「なんでもいいよ」と同じレベルで難易度が高いと思った。

前回の失敗で痛い目をみていたからこそ、色々と調べ上げて、幹事にお得なサービスもあってお店も厳選されている飲食サービスのサイトを見つけた時は、心の中でガッツポーズをした。

お店よりも重要なのが「僕が彼女たちをもてなす」のが今回の目的だった。

篠原未來に関しての情報収集をSNS、同じ部署の受付嬢達にも彼女の趣味や好きな食べ物についてなど…基本的な事を聞いたのだ。

こちらがお願いしているので、ランチを奢る事は構わないのだが、一番高いデザートを頼まれた時は「(女の人ってこんなに図々しいの?)」と苦笑いした。

どうやら篠原未來はジビエが好きと有力な情報を教えてもらい、飲み会なら新宿が鉄板だと受付嬢から小一時間レクチャーを受けていた。

お店の雰囲気は良かったようだ。
ホッと一安心をしたと同時に僕の友達と篠原未來、マリンの友達が続々とお店に入ってくる。

今回は会社以外の顔ぶれでやろうとなったので、初対面の人ばかり。
こういった場に慣れてない僕は慣れない対応をしながら挨拶をしていく。

人数は僕を含め合計10人。
比率は同じにして合コンに近い飲み会形式だ。
年齢層は24~28歳位だから、出会いを求めている人にとってはちょうど良いと思う。

「えーと、皆さんお集まりいただき…(やばい。緊張して何言うか忘れた!)」

沈黙が5秒立つ前にある人物が

「ごめん!高橋君ちょっと緊張しいなの。という事で、かんぱーーーい☆」

篠原未來だった。
普段のようなクールなキャラと違い、友達の前では気さくなキャラなんだろうと思う。多分。
乾杯をした後は自分の友達に「よく頑張ったじゃん」と背中をポンとされた。

予約したラム肉料理のコースの内容もすこぶる好評で、ラムステーキは誰が大きい切れ端を食べれるかでジャンケン大会が始まった。

幹事としてずっと気を遣っていた。

・誰かのドリンクがなくなりそうだったら注文するか聞く
・ドリンクはなるべくまとめて注文する
・空になったお皿はテーブルの端に置く
・女性の年齢は僕からは聞かない
・自分の話は控えめにする
・1時間経ったら席替えする

とにかく必死だった。
楽しい場を盛り上げるために、自称コミュ障とか言ってられない。
僕が思っていた以上に会はあっという間に楽しい時間は過ぎていった。

その後は二次会の流れになり、カラオケで二時間たっぷりと歌った。
部屋は二手に別れて、僕は飲み会であまり会話できなかった人達と一通り世間話ができた。
幹事として全うしたぞと長めの息を吐いて、カラオケの楽しい空気の輪に戻るとしよう。

ーーー夜10時半 新宿西口駅

ニ次会が終わって解散した。
全員を見送ってたら地下鉄沿線に住んでいる人ばかりで、帰り道は僕は一人だけだった。

さて、初対面の人とは全員連絡先も教えて貰えた。
今日はありがとうございますとたくさんの人から感謝をされ、頑張って良かったと思える。

「高橋君!」

大塚に帰ろうと進もうとした瞬間だった。
地下鉄に向かったはずの篠原未來が走って戻ってきた。

「高橋君、今日はありがとう」
少しだけ息を切らしながら、彼女は少しだけ微笑んだ。
「マリンや私の友達も、今日はすごく良かったって…」
何か言いたげで少しモジモジしている、しおらしい彼女の一面は可愛らしかった。

「あの時はごめん。私が脅したようなものだし。」
ビールを僕の頭にかけた時の事を言っていたようだ。

「気を悪くさせたら申し訳ないのだけど、高橋君がここまで頑張ってくれるなんてビックリしてて。私がジビエ好きっていう事も知っていて、嬉しかったよ」

普段クールな性格の人が心を開いてくれた瞬間は僕の胸に刺さるものがあった。

「ねえ、今度は私と一緒に飲み会をやろうよ」
彼女なりの精一杯のアピールだったのかもしれない。
当時まだ未熟だった僕は、それが仲良くなりたいという合図だとは分からなかった。

わからなくても、答えは決まっていた。

「僕でよければ!」

僕も僕なりに精一杯の笑顔で返答した。
こうして僕は篠原未來と共に、これから飲み会を開いていくのである。

まだ右も左もわかっていない事が多い。
視野が広がればきっと分かる事もあるはず。

唯一、一緒に協力する人がいれば次の飲み会はきっと良いものになっていくと確信した。

END


▼前回の話はこちら▼
僕がリア充になるからには都市伝説級になってやんよ
第4話 大失敗を巻き返したい!慎重かつ念入りに幹事のやるべきことって何?
https://utage.yukari-goen.co.jp/2020/06/26/kanjimusou12/

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