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僕がリア充になるからには都市伝説級になってやんよ 第3話 初めて幹事やってみて、もうやりたくないと思った

「最ッッ低!!!」

 

鬼の形相かと思うような表情をした彼女の怒号が飛んだ。
僕は顔面にビールを勢いよく浴びた。

上半身はビショビショになった。
明日は予備のスーツで出勤する必要がある。

なぜこんな漫画みたいな展開が起こったのか?

事の経緯を説明しよう。
時刻は18時ーーーーー定時の時間だ。

飲み会は19時開始。
普段ならいつも通り残業だ。

今回は上司の指令で事前に準備しろという事で定時上がりになった。
時刻は18時半ーー予約したお店に先に幹事の僕だけ入店した。

店員に今日の予約状況を確認してもらう。
・予約名
・コース内容
・人数
これらは幹事として確認必須の項目である。

確認を終えた店員はこう答えた。
「申し訳ありません。本日の予約がないようなのですが…」

「え…」
鳩が豆鉄砲を食らうような表情になる。
雷が落ちたような衝撃である。

思わずネットスラング用語で反応してしまいそうだった。

「なんで予約が取れてないんですか?どういう事ですか??」
急なトラブルに弱い僕はネガティブ思考全開だった。

この世の終わりだ!と言わんばかりに店員に問い詰めそうになった。
責任者に確認しますと店員はそそくさとバックヤードへ駆け込んでいった。

すぐに責任者であろう店長らしき男性が登場した。
真っ先に謝罪され、今回予約が取れていない件で説明をされた。

「実はネット予約は最近導入したばかりで、電話での予約を優先しておりました。 本日のネット予約分は先程確認してようやく気付きまして…」

そんな展開は誰が予想出来ただろう?
飲み会開始の19時まであと20分。
冷汗をかきながら、僕は何とか30名分の席は用意出来ないかと懇願した。

元々20名のお座敷なら詰めれば何とか収容できるらしい。
苦渋の決断をして僕は了承した。

コース料理も事前予約が必須のコースは提供不可のため、やむ追えず二次会に出てくるような料理のラインナップになった。

そこからはその場その場の慣れない気遣いに必死すぎて覚えていない。

飲み会を開始して1時間後、機嫌が悪い篠原未來は僕の顔面に勢いよくビールを浴びせる。

「最ッッ低!!!」
漫画のように勢いのあるビールをかけられ、上半身はびしょ濡れだ。
そんな状態はお構いなしに、彼女は僕の腕を掴んで店の外へ連れていった。

もうすぐ春が訪れるけど、やはり店の外は寒い。
上半身濡れてるから余計に寒い。
彼女は明らかに機嫌が悪い表情で腕を組んで仁王立ちをしている。
そして、僕の胸ぐらを掴み、鬼の形相のような表情(かお)で僕に吠えた。

「席が狭い!予約していた料理じゃない! 上層部の方のご機嫌取りが私ら受付嬢の仕事みたいになってるのはどういう事?!私らもてなされる側なのにどうなってんのよ!!」

失敗した事で僕はパニック状態だ。
状況が整理出来なくて平謝りしかできなかった。
男だけど半泣き状態になっている。
少し落ち着いて、今回どうしてこのような状況になったのか説明した。

「ふーん。つまりネット予約だけして後は何もしなかったって事ね?」
篠原未來は今回の会が失敗した件を細かく解説してくれた。

①ネット予約で予約が確定したとしても、たまに店舗側が把握していない事もある。
最低でも3日前には電話で確認が必要。
今回のようにネット予約の対応が慣れていない店舗があるのが良い例らしい。

②20人の席数に対して30人が着席している。
これも事前確認をしていれば防げた事態。
明らかにキャパオーバーしている。

狭すぎて隣が密着していて、大抵の人が不快になる距離感だそう…確かに。

③料理が事前に周知されていたものと食い違いがある。
これも事前確認があればリカバリーできた。
もし取引先の接待の場であれば契約に繋がらなくなる事態。

僕が初めての幹事で慣れないという事と、上司が丸投げした事に負い目を感じていて、男性陣からは「全然気にするな!」と許容してもらった。

④女性社員がいる事を考慮されていない

へ???

会社の受付嬢は企業の顔であり広告なのだから、もっと女性陣が好きそうな料理を選べだそうだ。
上司の好みに合わせるんじゃないの?と思ったが、うちの会社の男性陣は女性社員の好みに合わせるスタンスらしい。

知らなかった。

「てことよ。有難いと思いなさい」
彼女は言いたい事を全部言って気持ちも晴れ、私の方が先輩ですから的なドヤ顔で先程よりも仁王立ちに風格が出てきている。
「篠原さん、ありがとうございました。次回から気をつけます」
深々とお礼をした。
ネットで調べた情報だけでは限度があり、経験者に聞けば良かったと思った。

色々と考えて泣きそうになる。
ズボンのポケットからハンカチを取り出して、ビールがかかったままの顔を拭いた。
僕が眼鏡を外したら篠原未來は豆鉄砲を打たれたハトのようにポカンとした表情になった。

「高橋君って可愛い系の顔だったのね…(どこにでもいる地味な眼鏡男子だと思ってたんだけど)」

何を言ってるか聞き取れなかったけど、眼鏡を外した僕に驚いてるらしい。
僕は濡れたままの顔を拭き終え、通常の眼鏡姿に戻る。
篠原未來は何か思いついたように僕の左肩をポンとする。

「今回の埋め合わせしてよ」

「ーーーーーーえ?」
彼女の発言の意味が僕には馴染みがなかったので、理解するのに10秒かかった。

「高橋くんの周りってイケメンいるわよね?その子達呼んで合コンしたら許してあげる♪」

僕に拒否権は無いらしい。

「…(泣)」


次回の更新は6月26日(金)
お楽しみに♪

▼前回の話はこちら▼
僕がリア充になるからには都市伝説級になってやんよ
第2話 「ネットの情報さえあれば全部上手くいくのは幻想だった原因」
https://utage.yukari-goen.co.jp/2020/05/08/kanjimusou6/

 

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